K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

FOUJITA(金沢・シネモンド)うーん、微妙


 事前にwebなどで見かけたクリップが美しい、ととても気になっていたいたので、金沢封切り初日、1回目に出かけた。こんな意気込みははじめて。まあ、それが裏目、なんだけど。

 最近は音を聴くことに意識が向いていて、なかなか映像には関心が行かない、なかでの強い関心なので、忙しいのだけどシネモンドに飛び込んだ。

 ボクのなかの期待値は、映像の美しさ、に尽きる。青いパパイヤの香り、とか、ツゴイネルワイゼンのように、柔らかなフォーカスがものを追いかける様(パパイヤ)や、明治時代の浮世絵のような絵柄や色彩の切り取り(ツゴイネルワイゼン)のような、何かそんなのもの期待値が高まっていた訳だ。そんな先入観を持った映画をみてはだめだなあ、と思った。

 映画としてみたら、そのような映像美を追究したのか、藤田という日仏を舞台とした希代の(役者のような画家)に焦点を当てるのか、そのあたりがどちらとも云えず、残念。写真あるいは短いヴィデオ・クリップで期待を持たせた映像も、流れのなかで、息を呑ませる力はなく、残念。ベタにはめ込んでいる感じで、緩急のメリハリがなく、強い心象を与えていない。ケレン味を期待させるフジタ主催のパーティーの場面も、さらりと流すあたり、もったいない。(鈴木清順の映画・陽炎座で、樽の中に沈んだ女の口から赤いほおずきが溢れ出る画面を思い出していた)

 後半の日本の場面も、ショットは綺麗なのだけど、それらが相乗して何か、が描かれることはなかった、と思う。藤田、戦争、昔話そんなものが散漫に投げ出された感じ。狐のCGの稚拙さ、単に感傷的な戦争の扱い、だったような。

 画面のほとんどが蔭の中にあって(特に後半)、逆に陰翳の美しさを損なっている、ようにも感じた。狙いすぎている。明るい画面のなかで、強い陰翳を感じさせるべきではなかろうか。

 すみません、泥の川でいいなあ、と思った監督だったし、事前の画像で期待値が異常に高かった裏返し。見てイケナイ映画って訳じゃなかったから、お試しくださいませ。失礼しました。