K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Steve Lehman: Mise en Abîme (2014) 多様な音をコラージュしてつくる奇妙な味

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 Steve Lehmanのアルバムを3つ、Bandcampからダウンロードしている。時間を遡上していて、これは一つ前のアルバム。何となく大編成は苦手感があって迷ったのだけど、試聴すると良かったのでダウンロードした。

 このアルバムも最新作と同じく、奇妙な味がする音空間が異常に美味しい。ヴィブラフォーンがつくる漂う音の感覚は、勿論、「アレ」を思い出させるが、よく作り込まれたアンサンブルが造り出す芯が強い浮遊感が気持ちよい。そのような浮遊する音を載せたドラム、ベースが作り出すビートは強靱で、強い昂奮に満ちている。そんな対照的なアンサンブルとビートが不思議感が強い空間を造っている。

 アルバムのなかに様々なビートがあるのだけど、最新作Sélébéyoneのヒップ・ホップと同様、それは素材であって、そんな多様な音をコラージュして奇妙な味がする音世界を作っている、ように感じた。

 その上でSteve Lehmanを中心とする管のソロが繰り広げられるのだけど、それもまた魅力。躍動していて、個々の奏者の個性よりも、アルバムとして前に進むドライヴ感で溢れている。

 そんなアンサンブル、ビート、ソロの3層構造的な音が導く世界は、聴き手が受ける感覚として、モンクやドルフィー、ミンガス、ギル・エヴァンスが造った音・造ろうとした音と見事に交差しているように感じた。非常に面白いし、麻薬的な魅力がある。

 それにしても5曲目のドライヴ感は凄かったなあ。

 Bandcamp:

amazon:

Mise En Abime

Mise En Abime

 

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Steve Lehman: Mise en Abîme (2014, pi)
1. Segregated and Sequential 4:03
2. 13 Colors 4:05
3. Glass Enclosure Transcription 5:08
4. Codes: Brice Wassy 7:45
5. Autumn Interlude 4:23
6. Beyond All Limits 4:46
7. Chimera - Luchini 7:02
8. Parisian Thoroughfare Transcription 2:33
Steve Lehman (as, Live Electronics), Jonathan Finlayson(tp), Mark Shim(ts), Tim Albright(tb), Chris Dingman(vib), Jose Davila(tuba), Drew Gress(b), Tyshawn Sorey(ds)