毎年、８月のお仕舞いが来ると、金沢に住んで何年めだろうか、と数える。もう随分と長くなって、前住地の記憶も次第に薄くなっている。過去、一番長く住んだ場所で14年。金沢がその半分になった。そして、昨日、８年目に入った。
金沢での７年間で、必ずやらないといけないと思っていた、技術者としての仕事を終えることができた。もうすぐその論文が出版される。着手してから20年以上。気の長い話だ。さて次は何をしようか。
移り住んだ頃は時間の流れの緩慢さに驚いたが、今はその緩慢さのなかにあって、さほど感じない。移り住んだ頃は夕暮れ、空、月などの光景の美しさに驚いたが、今はその美しさのなかにあって、さほど感じない。
日常になる、というのは、そんなことかと思う。それでも、夕暮れの黄昏時に過ごしていると、清澄な大気に中にあって、ありがたいことだと思った。
