なぜかディスクユニオンのJazzTokyoにあったレコード。高瀬アキと並んでいたので笑ってしまった。笑ったけど、ラッキーだった。最近はクラシック売り場へ行かないので、この手の現代曲のレコードは入手し難い。高橋アキの現代曲は美しい、という点において、とても好み。(以前、お茶の水店のジャズコーナーで現代曲集のボックスを入手し小躍り)
このアルバムも実に美しい音響。目当てのケージの曲は、木製構造物としてのピアノを打楽器として美しく鳴らしている。だから打楽器とピアノのデュオにきこえ、そのリズムは南方の島で、寝苦しい夜に微かに響く饗宴のように感じる。エキゾチックであり、そして懐かしい。
クセナキス、武満の曲もピアノの美音という点では申し分ない。ただA面全体がダイナミックに音を振幅させる曲が多いためか、残響を抑えたややデッドな録音。武満の曲はECM的な残響のなかで映えるので、やや残念。
B面はサテイ、ドビュシーの曲。こちらは適切な残響も加わり、気持ちよい音。A面では彼女の強靱な技巧で正確さが美しい音を生み出していたのだけど、B面は正確さが、やや味気ない印象。薄味が好みの人には向くように思う。
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高橋アキ:季節はずれのヴァレンタイン (1976, 東芝)
A1. クセナキス/エヴリアリ
A2. 武満徹/フォー・アウェイ
A3. ケージ/季節はずれのヴァレンタイン
A.4 ケージ/ア・ルーム
A5. ケージ/マルセル・デュシャンのための音楽
B1. サティ/グノシェンヌ(全6曲)
B2. ドビュッシー/前奏曲集第2巻より(3曲)
高橋アキ(p)