K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM2474) Ches Smith: The Bell (2015) 現代音楽的な音響とジャズ的な躍動が交叉するような驚き

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 実は秋頃からとても忙しい。金沢では、引き籠もりながら、山に登ったり、走ったり、釣りをしたり、音楽を聴いたり、そんな生活のために来た筈なのだけど、どうも違ってきた。まずい。忙しくして年収が増える訳でもないので、なおのこと困る。どうしたものだか。

 ECMのレコードも、そんな静謐な生活の中で聴くと潤いのあるものなのだけど、忙しいなかで聴く、気もしないので、暫し中断している。

 ECMの新譜については、気になったものを少しだけ入手している。これはクレイグ・テイバーンが気になって入手。

 最近のアイヒャー・プロデュースのアルバムには、あまり面白いものに当たっていないのだけど、これは大当たり。現代音楽とジャズの境界線にあって、現代音楽的な音響とジャズ的な躍動が交叉するような驚きを与える音。

 ボクはチェス・スミスを初めて聴くのだけの、タイショーン・ソーリーと同じく、現代音楽的な精緻な音空間を、ジャズの語法を交えながら構築している。そして、美しい。比較的少ない音をパッチワークのように組みながら、大きな音世界を作る様が愉しいし、どきどきさせられる。現代音楽の打楽器的な音から、次第にジャズ・ドラムへと変容する、その過程が驚くほど昂奮に満ちていて、飽きない。タイショーン・ソーリー、Nakama, Ruwehらと同じく、音響的な美しさを孕んだ音を極く厳選し、組み立てる世界、なのだ。

 それに加え、ECMのニューヨーク録音、はいいなあ、と思うのだけど、どうだろうか。1970年代のECMの世界のようにも聴こえるのだけど。残響に頼らず、テイバーンのピアノを美しく捉えている。

 

the bell

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(ECM2474) Ches Smith: The Bell (2015)
1. The Bell(Ches Smith) 9:29
2. Barely Intervallic(Ches Smith) 7:43
3. Isn't It Over?(Ches Smith) 13:11
4. I'll See You On The Dark Side Of The Earth(Ches Smith) 10:47
5. I Think(Ches Smith) 9:31
6. Wacken Open Air(Ches Smith) 5:16
7. It's Always Winter (Somewhere)(Ches Smith) 5:32
8. For Days(Ches Smith) 6:38
Ches Smith (ds, vib, timpani), Craig Taborn(p), Mat Maneri(viola)
Design: Sascha Kleis
Cover Photo: Caterina di Perri
Engineer: James A. Farber
Engineer [Assistant]: Akihiro Nishimura
Producer : Manfred Eicher
Recorded June 2015, at Avatar Studios, New York
Released: 15 Jan 2016