K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Paul Bley & Scorpio (1972) 早く聴くべきだったレコード

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昨日届いたブレイの「電化アルバム」。早く聴くべきだったレコード。はじめて買ったディスクガイドで否定的であった、ことが擦り込まれていた、のだと思う。

後年のペデルセンとのデュオでなかなか聴かせた電気ピアノがグルーヴする快感、が潜んでいる。チック・コリアのA.R.C.と同時期に、同じベース、ドラム。A.R.C.の硬質な仕上がりと比べると、こちらは少々柔らかい。ピアノの電化が良い効果を与えている。RTFとの中間という感じ。このアルバムの発売は1973年なので、チックのアルバムは発売後。ブレイ的な電化の応え、だろう。

特筆すべきはシンセサイザの使用。WRもRTFもフェンダー・ローズの頃。1970年のアーネット・ピーコックとのDual Unityとともに、早い時期のシンセサイザではなかろうか。

ボクはシンセサイザを使ったアルバムは苦手感があって(富田勲は好きだったが)、特に1970年代後半の坂本龍一のシンセサイザは、音の奇矯感に焦点を充てる感じで辛い。身体性を感じさせないシンセサイザは辛い。

このアルバムでは現在のelectronicsに近い、環境音としての空間建築材としての使い方になっていて、ごく自然。全く違和感はなく、小気味よくグルーヴするローズや、美しいピアノの音の背景にバランス良く添付されている。Scorpioの毒々しい名前で、気が小さいボクはビビっていたが、そう毒も無い。

つぎはDual Unityを聴いてみよう。

追記:

それにしてもブレイの加齢が急激に進んだように見えるジャケットは何だろう。1960年代の若さ、と決別したような...

 

Scorpio

Scorpio

 

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Paul Bley & Scorpio (1972, Milestone)
A1. El Cordobes (A.Peacock) 4:33
A2. Capricorn (P. Bley) 5:31
A3. King Korn (C. Bley) 4:55
A4. Dreams(A.Peacock) 6:17
B1. Syndrome (C. Bley) 7:55
B2. Gesture Without Plot (A.Peacock) 9:45
B3. Ictus (C. Bley) 4:05
Paul Bley(Arp Synth., RMI And Fender-Rhodes electric pianos, piano), David Holland(b, fffects/fuzz pedal), Barry Altschul(perc)
Art Direction: Tony Lane
Photograph: Ellen Bailey
Engineer: Jim Vickers
Producer: Orrin Keepnews
Recorded at Advantage Studios, N.Y.C., November 24, 1972

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