K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦: Passing In The Silence (1993) 何もない世界の縁が直ぐそこに迫るような

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富樫雅彦のソロ。この作品のおよそ10年前のThe face of percussionに続く作品。

富樫雅彦のアルバムは無理せずゆっくり集めていて、先日、安値で入手した。

ソロでの富樫は、ビートやドライヴ、グルーヴといったジャズに対する遠心力を最大限働かせているように思えてない。このアルバムも、無音、のようなものを封じ込めたような趣向。音を聴きながら、音が次第に遠ざかるような錯覚を覚える。富樫の手によるジャケットの絵、のようだ。遠くに見える雲沸く山々。しかし、それは分け入る対象ではなく、思念の中で遠くに感じる存在、に過ぎない。

録音は素晴らしく良い。そして、富樫自身も早々に消えていった「何もない世界」の縁が直ぐそこに迫るような、冷やっこい感覚を味わうのだ。

パッシング・イン・ザ・サイレンシス

パッシング・イン・ザ・サイレンシス

 

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富樫雅彦Passing In The Silence (1993, Transheart)
1. Introduction 0:23
2. Pas 1 2:03
3. Pas 2 5:12
4. Pas 3 3:40
5. Pas 4 9:06
6. Pas 5 2:56
7. Pas 6 3:09
8. Pas 7 5:16
9. Pas 8 7:54
10. Pas 9 3:02
11 . Pas 10 3:16
12. Pas 11 7:47
13. Pas 12 3:38
富樫雅彦(ds, per, composer)
Engineer [Recording] : 及川公正
Executive-Producer: Masakatsu Nishiwaki
Producer: Kenny Inaoka, Masahiko Togashi
Recorded at EGGS & SHEP STUDIO Oshino, Yamanashi, Japan on December 4 - 6, 1993.