K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

鈴木弘, 富樫雅彦: Variation (1969)パラジウムと同年とは

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先日、1969年から70年の日本のジャズのアルバムを購入して、確かに1960年代と1970年代の間の破断線があって、そして、それが1968年なのか1969年なのか、気になっている。1968年からの思潮の不連続的変化、のようなものが日本のジャズに及んだのはいつだろうか、そんなことが気になったりする。

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このアルバムが1968年でブルーノート4000番台の空気、そして1969年のjazz in tokyoではスタンダード曲でも新しい時代の匂い、1970年のtrio by trioで今に通じる日本のジャズに変化。実に面白い。リアルタイムにはどうだったのか?

上記関心とは別なのだけど、同時期における富樫雅彦の演奏の凄まじさを「パラジウム」で知り、「ウィ・ナウ・クリエイト」、「アイソレーション」、「いわな」と入手していった。

wiki:

1969年に実験的音響空間集団ESSG[5]を結成。この年、富樫は後世に語り継がれることになるアルバムを連続して生み出す。1月には鈴木弘との双頭コンボで「ヴァリエーション」を録音。3月と7月には佐藤允彦とのトリオで「パラジウム」、「トランスフォーメイション」、「デフォメイション」を録音。4月と6月には宮沢昭と「フォー・ユニッツ」、「いわな」を録音。5月と11月には自身のカルテットで「ウィ・ナウ・クリエイト」、「スピード・アンド・スペイス」を録音。そして12月には映画『略称・連続射殺魔』(監督:足立正生)のためのサウンドトラックとして、高木元輝と「アイソレーション」を録音した。これは富樫が両手両足でドラムを演奏した最後のアルバムとなる。

そんな2つの興味のなかで、本盤を入手。タクト盤ということで、1960年代の引力が強いのでは、という予想をしていたが、その通り。冒頭はウォーターメロンマンの亜種でコケてしまった。同じタクトの日野・菊地カルテットと同じ感じ。富樫雅彦のドラムがオフ気味というのも不満。富樫雅彦とそもそも指向が違う大野雄二との組み合わせも、デュオで両者健闘するも、美音に終始し化学反応的なものは薄い。

駄目なアルバムでは決してないのだけど、1970年代の日本のジャズの息吹は感じるが、1960年代の重力が強いと感じさせる1枚だった。パラジウムと同年とは思えなかった。

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鈴木弘, 富樫雅彦: Variation (1969,Takt)
A1. Castle Cats
A2. Variation
B1. Suzu No Uta
B2. Alfie
B3. Passion
鈴木弘(tb), 富樫雅彦(ds), 伏見哲夫(tp), 大野雄二(p), 鈴木淳(b)
Recorded on January 20 and February 3, 1969. Originally released on May 10, 1969.

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