K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Sam Rivers: Zenith (1977) 最初の一音でアルバムを知らしめる、そんな高レベルの演奏

SAM RIVERS / サム・リヴァース / Zenith

Sam Rivers: Zenith (1977, Nobusiness records)
1.Universal Message 53:19
Sam Rivers (ts, fl, p, ss), Joe Daley (tuba, euphonium), Dave Holland (b, cello), Barry Altschul (ds), Charlie Persip (ds)
Recorded 6th November, 1977 in Berlin, Germany

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Nobusiness recordsからの素晴らしい発掘アルバム。昨日、リトアニアから届いた。いつも直接購入。リトアニアからの送料はいたって安価。

1977年だからロフト・ジャズ期のリヴァース。その頃のSJ誌なんかを読んで1970年代中頃のフリージャズの動き、と理解したが、World flowersのシリーズなんか聴くと、むしろ中心の軸たるジャズ、そんな熱量を孕んでいる。

このアルバムはその熱量が噴出したような素晴らしいアルバム。よくぞ出してくれたNobusiness records!録音も実に良い。

リヴァースの少し乾いたようなサックスの音がいきなり咆哮する。音は熱いが、奏者は冷たく音の組み立てを続ける。破壊的ではなく、むしろ熱量を維持したままパルスを流し続ける。

テナー・サックス、フルート、ピアノ、ソプラノ・サックスと楽器を持ち換えて続けていくのだけど、どれもが熱量を維持しながら、緊張感を一瞬たりとも緩めない。

ホランドのベースの速度感がまた実に素晴らしい。このセッションの音空間の基準点を与え、奏者達にまた熱いパルスを叩き続ける。

ドラムはいつものアルトシュルに加え、パーシップの2ドラム。やや現代音楽のような打楽器的なアルトシュル(多分)のドラムに、低音で粘りうねるパーシップが加わり、パルス・ビートが交叉していく。

最初の一音でアルバムを知らしめる、そんな高レベルの演奏を50分以上。1977年のベルリンの聴衆とともに、驚きや昂奮を共有する。そんな時間があるから、ジャズの音源を聴き続けるのだと、改めて自分のなかで確認した。

ああ嬉しかったなあ。

試聴リンク:

http://nobusinessrecords.com/demo/Sam%20Rivers-CD2.mp3