K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

(ECM 2679) John Scofield: Swallow Tales(2019) ここには誇張やケレン味はない

Swallow Tales

(ECM 2679) John Scofield: Swallow Tales(2019)
A1. She Was Young 9:33
A2. Falling Grace 5:27
A3. Portsmouth Figurations 3:31
A4. Awful Coffee 9:28
B1. Eiderdown 7:13
B2. Hullo Bolinas 4:15
B3. Away 4:54
B4. In F 4:34
B5. Radio 4:21
John Scofield(g), Steve Swallow(b), Bill Stewart(ds)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Tyler McDiarmid
Executive-Producer: Manfred Eicher
Recorded March 2019
The James L.Dolan Recording Studio at NYU Steinhardt, NY
Released:10 Jun 2020

https://www.ecmrecords.com/shop/1580225075/swallow-tales-john-scofield-steve-swallow-bill-stewart

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新しいECMのレコードを聴いて、アップするのは久しぶり。新しいといっても6月リリース。ECMでの在庫がなくなったことに気がついて、慌ててamazonで注文。時期が熟れていたので、存外に安価だった。好きなレーベルなのだけど、少し辟易しているところもある。レコードだけはフォローしているのだけど、急いでは居ない。

不思議なアルバムを聴いたような気がする。今のボクにとって、一番の好物、の音ではない。だけど、時々刻々と遷移していく嗜好に、ぴたっと嵌まる日は多分ある、あるに違いない、と思った。だから何回も繰り返して聴くことにする。

スコフィールドの、こんな感じの演奏って、日野皓正のMay dance以来かな、聴いたのは。好きなアルバムだった。だから、このアルバムも好きになる、日が来るのだろうと思う。

同時に思い出したのはメセニーのquestion and answer。聴きたくなったなあ。これも好きなアルバムだった。同じような匂いがする。ライナーノートを読んで、何となく腑に落ちた。バートンの名前が出てくる。バートンとの共演者、70年代のメセニーや、60年代のスワローもそうだし、ロイ・ヘインズもそうだ。そのあたり、の匂いなのだ。60年代後半の彼らの音、から混沌を抜き取って、純化したような音がこのアルバムに凝縮されている。きっとquestion and answerもそうだ。

ここには誇張やケレン味はない。ECMの残響付加すらない。ECMの音ですらない(そこが嬉しく、また寂しいかも)。しかし、ECMの音と同じ空間の感覚はあって、そこが嬉しい。とても素の音だけど、妙な透明感はない。またスワローの曲なのだけど、裏表のように忍び寄るカーラーの仕掛け、のようなものもない。スワローの曲が無防備に淡々と流れている。だから、そこに微かな驚きがある。すっと始まり、すっと終わる。

意識を強く引っ張らない。静かにそこに流れているだけ。そんなことに意識が引っ張られる。そんな音の気分が生まれることを、ライナー・ノートがさりげなく裏付けしている。

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Swallow Tales [Analog]

Swallow Tales [Analog]

  • アーティスト:John Scofield
  • 発売日: 2020/06/05
  • メディア: LP Record