K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Bill Evans, Jim Hall: Undercurrent (1962) 昔のレコードで一件落着の筈だったのだけど(ディジタル音源でさらに)

Bill Evans, Jim Hall: Undercurrent (1962, United Artist==>HDTT)
High Definition Tape Transfers(128kHz, 24 bits)
1. My Funny Valentine
2. I Hear a Rhapsody
3. Dream Gypsy
4. Romain
5. Skating in Central Park
6. Darn That Dream
7. My Funny Valentine(Alternate take)
Bill Evans(p), Jim Hall(g)

Undercurrent - Bill Evans and Jim Hall | High Definition Tape Transfers

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今朝購入したHigh Resolution data。192kHz、24 bits。高分解能データには一時興味を持ったが、さして感動を増す要素はなく、レコードへと移った経緯がある、なのに、入手した。サイトはHigh Definition Tape Transfersという、うーむ、と関心を呼び起こす名前。ブログのコメントで、Abacus氏に教えて頂いた。感謝します。

Bill Evans: 'Complete recordings' at Shelly's Manne-Hole, Hollywood, California (1963) ボクのcomplete盤 - K’s Jazz Days

エヴァンスのUndercurrentは、国内盤のLPレコード(キング)、CD(BN)ともに録音が全く冴えなくて、籠もった音。演奏の素晴らしさが、不透明な膜の向こうにある苛立ち、を感じさせる盤。UAって割とそんな録音。エリントン盤(ミンガス、ローチとのあれ)もテイラー盤(コルトレーンとの)もそう。

しかし、当時のモノラル盤を入手すると膜が一枚剥がれ、少なくとも苛立ち、はなくなり、愉しむことができる。エリントン盤もテイラー盤もそうだったな。

ここで一件落着の筈だったのだけど、驚くべき出版が今年あった:

 この本の中で、「素晴らしい録音」として初期のCDである東芝リバティ盤が取り上げられている。また公開されている部分がまさにその記述。一読を薦める。

振動と風圧が遠慮なく押し寄せるなか、エヴァンスの弾くピアノは中央の奥で左右にどっしりと広がる。低音域が右、高音域が左から聞こえる。その前方中央に、ジム・ホールがいる。ギターの胴体の厚みとそこから生まれる共鳴。弦の共振。柔らかでスイートなトーンが、ピシリと決まったギターの音像から活き活きと送り出される。

そんな背景があって(長い前置きだ)、ディジタル音源が気になっていた、というなかでのHDTT情報。

東芝リバティ盤はステレオ盤のようだが、これはモノラル。レーベル自らマスタリングを行っているようだ。結論的には、前掲のモノラル盤のレコードより更に膜が取れて、さらに弦の瑞々しさ、が得られている。しかし、レコード盤よりも改善されているとは云えピアノの音が、まだ膜を被っている感じ、が残念。時折、ピアノの膜がめくれ上がる瞬間があって、その美音が眩しい。深く満足する、手前にようやく辿り着いた。

購入サイト:

Undercurrent - Bill Evans and Jim Hallwww.highdeftapetransfers.com