K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Duke Ellington: Money Jungle(1962) アヴァンギャルドな空気に満ちて

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United Artists(UA)のアルバムは録音が良くない、と思っていた。40年前のキングレコードの再発盤を聴いて、その籠もったような音質に苛立った。同じ再発盤でもBlue Note, Riverside, Prestigeとは随分違うものだ、と思っていた・

それが間違いだと気がついたのは、エヴァンスとホールのデュオUndercurrentの原盤を聴いたとき。ギターのカッティングが生々しく、実に良い。録音はエヴァンスのイスラエルのトリオを収録したBill Schwartau。だからキング盤の問題は、テープの劣化と若干の日本盤の問題(音が柔らかいVinylのレシピ)じゃなかろうか。 

となると、同じく音の問題で聴く気があまりしなかった本盤も原盤で欲しくなった。一時の原盤(あるいは原盤相当の音質の再発盤)探しは完全に落ち着いていて、ゆっくりと探していた。で、ようやく入手。

https://www.instagram.com/p/BjBkuCEFwwr/

職場に届いた。自転車通勤なので持ち帰れない。音質期待のオリジナル盤。#dukeellington #vinylrecords #originalpress

早速聴いているが、膜が何枚も剥がれたような、すっきり感で爽やか。この時代のアルバムは昔のJBLで聴くとバランスが良いが、わざわざ広ダイナミックレンジの最近のタンノイで聴くと、エキセントリックなピアノの響きもまた良かったりする。ミンガスのベースが時々跳ね上がったように高音でブロウする、凄い。

 エリントンのピアノ・トリオはCapitolのものが愛聴盤。録音は古いがCapitolの原盤でも東芝の再発盤も良い音がする。典雅なピアノをゆったり愉しむことができる。

このアルバムは全く違う。典雅な部分もなくはないが、音楽家としての熱量を叩き出すような争い。アヴァンギャルドな空気に満ちていて、互いに音で叩き合うような凄まじいセッション。フリージャズの勃興期に入って、一つ前の世代になったバップ勃興期の2人と、さらに前の世代のエリントンではあるが、その過激な攻めには驚いてしまう。

ローチはパルスを打ち続け、晩年のセシル・テイラーとの対峙を思い出させ、ミンガスはビートを打っているのかどうだか、色々な音を繰り出す。エリントンはその上で強靱で急速な打鍵で2人を制覇しようと試みる。実に過剰な美しさに溢れている。

その満足度を考えると、音質を求めての原盤買いは決してCPが悪くないと思う。何回も聴こう、という気持ちが沸々と湧いてくるから。音響装置への投資では、こうならない。

追記:最近のリマスター音源のCDはどうだろうか。LPで漏れた追加曲も多いようなので気になる。

マネー・ジャングル

マネー・ジャングル

 

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Duke Ellington: Money Jungle (1962, United Artists Jazz)
A1. Money Jungle 5:25
A2. Le Fleurs Africaines (African Flower) 3:32
A3. Very Special 4:25
A4. Warm Valley 3:30
B1. Wig Wise 3:20
B2. Caravan 4:15
B3. Solitude 5:30
Duke Ellington(p), Charlie Mingus(b), Max Roach(ds)
Producer: Alan Douglas
Recorded by Bill Schwartau
Recorded: New York City, Sept. 17, 1962

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