K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢21世紀美術館「建築と音のアンサンブル」 金澤攝さんのピアノに出会えたこと


暑い9月の昼下がりを美術館のなかから見る。硝子1枚を隔てただけなのに、もう一つの世界を覗き見しているような感覚となった。夏の熱気を焼き付けた硝子乾板を貼り合わせたような光景だった。
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昨日の白山登山の後は、やはり体の覚醒が強く、何杯かの酒では解れなかった。だから明け方まで浅く起きているような、まどろんでいるような時間を過ごした。そのまま自宅で音楽を聴きながら沈殿することも悪くないのだけど、知人から教えて貰った金沢21世紀美術館でのコンサート「建築と音のアンサンブル」に出かけることにした。美術館の建物がプリッカー賞に受賞した記念企画。多くの会場で15分単位の演奏を並行して行い、観客が巡回して聴けるという、オムニバス的なもの。Qさんの差配きびきびと、Iさんともども実に多くの演奏を楽しむことができた。

クラシックの演奏については、善し悪しを語ることはできないのだけど、金澤攝(かなざわ をさむ,旧名:中村攝)さんのピアノに強く惹かれたことが、今回の大収穫であった。演奏した曲が20世紀に入ってからの現代曲であり、ボクの好みとぴたっと合う趣味。それをとても強い音の連鎖で弾き上げていく様が気持ち良く、かなり気持ちを持っていかれた。曲と演奏者の関係が、1+1>2である印象を強く受けた。あまり音を語る語彙がないので、あとは演奏曲目を並べる:
セザール・キュィ:4つの作品(1901)
ジャン・フランチェスコ・マリピエロ:秋の前奏曲(1914)、はるかな歌(1919)
オットマール・ゲルシュター:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ(1950/51)、シルエット(1968)
見事に20世紀そのものを語っているような音の流れだった。これから暫く,演奏会が何回か行われるようなので、是非行きたいと思った。

あとは写真を並べる。

「建築と音のアンサンブル」開始前の会場。展示物がなく、「音」が展示されるのだ。
音響的には、管楽器の響きが全般的に素敵で、ピアノには良くなかったように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 







展示の一つ 井上道義「作曲中」。ときどき抜け出して、一緒に演奏を聴かれていました。


ボクは21世紀美術館の常設展が面白くなかったので1回出かけたきり。
何となく趣味が合わないのだ。だけど美術館の建物は大好きで、
夕暮れ時に浮かび上がるシルエットは美しい。