K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Stan Getz: Sweet Rain(1967)とCaptain Mervel(1972) 年のはじめにはジャズを聴いて

Stan Getz: Sweet Rain (1967, Verve)
  A1. Litha 
  A2. O Grande Amor
  A3. Sweet Rain
  B1. Con Alma
  B2. Windows
Stan Getz(ts), Chick Corea(p), Ron Carter(b), Grady Tate(ds)

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年々頼りなくなる海馬体の補助、のような積りで大好きなジャズのことをメモのように残していこう、と思って書きはじめたこのブログ。そして、なんとなく聴き続けて30年にもなっているのだけど、頭の中の棚にテキトーに突っ込んだままになっている音の記憶を再確認して、ボクの嗜好を再確認したいという想い。

そうなのだけど1年近く続けていると、なんだかジャズ比率が案外低いよなあ、と気になっているのだけど、ジャズと同じくらい好きなことが実に沢山あるので、いや金澤に引越してから出来たので、仕方がないなあ、とも居直っている。つらつら時系列に読みなおすと、ボクの荒っぽい心象の書き散らし。

休み明け早々の仕事(京都とPhoenix)の準備があって、うんうん云いながらPCに向かっている正月も何だかなのだけど、静かに音楽を聴いているのもわるくない。年のはじめは初心にかえってのジャズ盤の記載で。

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ボクはStan Getzはあまり聴かない。同じ白人のCoolな感じを狙うならArt PepperChet Bakerになってしまう。あるいはTal Fallowとかのギタリスト。例外的に聴いているのは、Getz  Gilbertのボサノバと、このSweet Rain。だけど両方のアルバムともGetzを聴くために手にとっているのかアヤシイのだけど。

Getz  GilbertはJobimの曲にJoan Gilbertの「けだるい」声を聴くため。Getzのテナーも決して悪くないのだけど,何だか「付け足し感」は拭えない。Sweet Rainについて云えば、当時、新進気鋭の若手ピアニスト、20代前半のChick Coreaの煌く演奏を聴くアルバム、と云えなくもない。あのドライヴ感がとても好きだから聴くのだ。と云いながら、Getzも案外に熱くソロを繰り広げていて、熱い1970年代に向けて一緒に疾走している様子がなかなか好感を持てるのだ。Getzの音色はあくまで冷たい感じなのだけどね。

改めてLithaを聴くと、リズムセクションのドライヴ感のすばらしさとともに、GetzとCoreaが繰り広げるリズムのギア・チェンジ感がとても気持ち良い。ああこの音がボクがChick Coreaの作品のなかでもとても好きな一枚「Now He Sings Now He Sobs」につながっているのだなあ、と再確認した。

巧いリズムセクションをみつけて、自らのオトの組み立てを進化させる感じはCharles Lloydなんかもそうだなあ,と思いながら聴いている新年。

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さて、Stan GetzChick Coreaの共演盤はもう少しあって、70年代はじめ、かのカモメのReturn to Forever(Chick Corea)とほぼ同時期に、似た様なリズムセクションで録音された一枚、 Captain Marvelがある。テナーサックスがReturn to ForeverのJoe FarellがStan Getzになった格好(ドラムがTony Williamsに)。どうみてもCaptain Marvelのほうが豪華なメンバーなのだけど、ボクが聴きはじめた1970年代末にはあまり見かけない、話題にもならない盤になっていた。入手もなかなかできなくて、後年、CDで再発されてようやく手にしたもの。俗に裏RTF(Return to Forever)として知られていたもの。

Stan Getz: Captain Marvel (1972, Columbia)

1.La Fiesta 
2.Five Hundred Miles High
3.Captain Marvel
4.Time's Lie
5.Lush Life
6.Day Waves
7.Crystal Silence [CDでの追加]
8.Captain Marvel [CDでの追加]
9.Five Hundred Miles High [CDでの追加]

Stan Getz (ts), Chick Corea (p), Stanley Clarke (b), Tony Williams (ds), Airto Moreira (perc)
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聴いてみて思ったことは、曲の軽やかさに対して、Getzのテナーが重い重い。Sweet rainで感じたような気持よさがない。世代交代の残酷さをみてしまったような一枚。だから以降のGetzは、昔のような演奏に戻っていったように感じるのだ。

1972年Montreux Jazz Festivalのヴィデオ映像をみていると,明らかにTony Williamsのドラムの重さが気になってしまう。何となくTony Williamsは70年代に乗り損なった感があるのだけど,なるほどなあ、と改めて思ってしまった。

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