昨日は部屋で本を読んで過ごしていた。冷房をつけなくても涼しいし、時折、廊下で炊かれている香料の匂いが漂い気持ちよい。そんな午後、次第に雲が増すのをホテルで眺めていた。夕方から散歩をしてみたら湿度が次第に沸点に向かっていることがわかった。気がつくと、大気が乱れ、そこはかとなく風が舞い、埃っぽい匂いが満ちて来た。夕立が来るのかな、と思った。西の空に黒雲が立ちこめてきた。Asokの交差点まで小走りで移動して、禁酒日でも呑ませてくれる店に入って雨宿り。昨日今日は「ご禁制」の筈のシンハービールを頼む。可愛い店員は、昨日のお友達は、と笑いながら聞く。今日は独り、って言ってから、雨の雑踏をぼんやり見ながら呑むビールも悪くない。行きたいと思ったヴェトナム料理屋は閉店。さて、どうしようか、と考えていた。
雨が上がった後、Asokの交差点をぼんやり眺めていたら、すごく違和感を感じた。そう、衣装を固めた自転車が走って来たから。はじめてじゃないかなあ、こんなヒトを見かけたのは。バンコクで。そして友人と落ち合って、お目当てのヴェトナム料理屋の代わりの店に向かって歩いた。Soi21沿い。バンコクの歓楽街"Soi Cowboy"もお釈迦様の宗教的祝日なのでお休み。"another good place"案内を狙う客引き、タクシーがうろうろしていた。
幼い頃、犬に飛びつかれたことがある。爾来、そのショックが残っていて、犬を見ると反射的に飛び上がってしまう。子供の頃、オバQにそこはかとないシンパシーを感じたものだ。不思議な事に、バンコクの路傍に佇む野良犬のような飼い犬なのか、飼い犬のような野良犬がたくさん居るのだけど、全く殺気がない。路傍にころがっているオヤジと同じ。だから犬の横を平気で歩ける。不思議。横から友人のSさんが「狂犬病持ってるかもしれないし、危ないですよ」と云われて、改めて平気な自分に驚いた。
結局、soi21とsoi23の間にあるWanakarmで食事。取引先と行った美味しいタイ料理屋があったことを思い出し、探した。これがその料理屋。シックなコロニアル風の建物でゆっくり食事ができた。看板のどんぶりマークは「王族のグルメ氏」が食べ歩きで「うまい」と思った店を認証した印だそうだ。確かに味は本格的にspicyだったし、ビールも呑めたし、とても美味しい時間を過ごす事ができた。
昨夜食べたなかで美味しかったのは写真左の海老出汁グリーンカレーと茄子のサラダ。アユタヤでとても美味しい海老出汁グリーンカレーを食べてから、気になるのだけど、なかなか出会えなかった。久々に美味しいカレーを頂いた。サラダは焼き茄子のようなモノにサワーをかけた簡単なものだったけど、酸味が効いてspicyな茄子はなかなか美味しいものだった。
魚のすり身フライと空芯菜の炒め物
焼きそばに春雨
Spicyなものばかり頂いたので、珍しくデザート。小豆のぜんざい、のようなもの。こちらの伝統デザート、ココナツとか、タロイモのような甘藷の淡い甘みで食べさせてくれるので、欧米の劇薬甘さと違って、最後までほのぼの食事をさせてくれる。
食事の最中から土砂降り。通りには人影もまばら。これだけ降っているバンコクははじめて。とても涼しくて28度くらい。寝るときもクーラーいらず快適だった。酷暑の日本に帰りたくないなあ、と改めて思った。