K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Larry Coryell, Miroslav Vitous: Quartet (1987) カルフォルニアの蒼い空のもと

Larry Coryell - Miroslav Vitous Quartet
 - Dedicated to Bill Evans and Scott La Faro (1987, Jazz point)
   1. Some Day My Prince Will Come
   2. Nardis
   3. Solar
   4. Some Other Time
   5. Corcovado
   6. Autumn Leaves
   7. My Romance
   8. Stella by Starlight
   9. The Peacocks
Larry Coryell(g), Miroslav Vitous (b)

 カルフォルニアの蒼い空のもとで、これを聴いている。目の前にはサンフランシスコ湾をとりまく低い嶺が続いている。そして静かな湾岸がかすかに見えている。見上げると蒼は深く、透明度が高い湖水を覗き込むような感じ。同じカルフォルニアでも、ロスアンジェルスやサンディエゴあたりになると、乾燥しすぎて空が白茶けている。ベイエリアに来たのは4年振りくらいだけど、やっぱりいいなあ。

 搭乗開始までの端布みたいな時間に聴いているのはラリー・コリエルミロスラフ・ヴィトウスのデュオ。なのにQuartetというアルバム。副題をみて分かるようにビル・エヴァンススコット・ラファロに触発されてこさえたアルバムだから4人、Quartetだそうだ。だから何曲かはビル・エヴァンススコット・ラファロの共演盤(モチアンの扱いが可哀想だけど)からの選曲。

 ヴィトウスは案外好きなベース奏者。ジャズ的なドライヴ感と欧州人の精緻さや低めのオトの温度がなかなかの気持ち良しなのだ。だからウェザー・リポートも彼が入っている頃の音が低く燃える感じで、格好良かったと思う。全般的には人数が多めの吹き込みが多く、またリーダ作ではトータル・サウンドを追求しているので、ベースをたっぷり楽しめる、ということでもない。だから、このアルバムのように、アコースティック・ギターを弾くコリエルとのデュオは、ヴィトウスのベースを楽しむのにぴったり。本当にいい。

 コリエルの録音は沢山持っていないのだけど、何故かグラッペリとの共演盤とかアコースティック・ギターの演奏を聴くことが多い。音数が増えると、時としてスムーズじゃないところに難がある。だけど抑制的な演奏をしたときの音はなかなか端正で悪くない。ある時期から脚光を浴びることがなくなったような気がするのだけど、達者だろうか。

 それにしても蒼い空を背景に飛行機が飛んだり、白いカモメが滑空したりするのを見ながら、ヴィトウスを聴いていると幸せ感が結構募ってくる。JobimのCorcovadoでのアルコは凄いなあ。

 それじゃあ、もうすぐ搭乗なので。