K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Stafano Bollani & Riccardo Chailly:Sounds of the 30's(2012)ボラーニのクラシック


 モントリオールで拾ったボラーニのクラシック。ご当地アルバムを買うために訪れたHMVだったのだけど、これは買い!ボラーニのラヴェル、それもピアノ協奏曲(両手)は興味津々なのだ。

 ジャズ奏者のクラシックにはあまり興味がないのだけど、タマに聴かなくはない。小曽根真ショパンのツアーは、その旋律がボッサへ与えた影響を明示的に教えられ、彼の響きが美しいピアノとあわせ、良い印象を持った。今年のGW、金沢ではOEKと小曽根真の組み合わせでショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲。オーケストラを追い越すくらい高速で弾いてこその曲なので、楽しみというより心配半分で出かけたのだけど、小曽根さんの背中から緊張が伝わる演奏で、とても闊達な感じが伝わるものではなかった。だから、終わったときにはヤレヤレと思った。同時に、小曽根さんの全身から「ヤレヤレ」の雰囲気が出て、もっともだと思った。荷が重いのだろう。少し美味しくなかったのは、第3楽章で「即興パート」が作ってあって、まあジャズ奏者だよねって砂場で遊ぶ感じが少々寂しかったのだけど。

 ジャズ・ピアニストのなかで、ボラーニは頂点に立つ技巧者だと思うときがある。ECMだの、Label Bleuだの、かのヴィーナスだの、レーベルの色に合わせてカチンと水準を遥かに超える録音を残しているのだから。ラヴァとのデュオを聴いていても、楽器を弾く技巧から解き放たれた闊達な音の世界が楽しい。だからラヴェルの協奏曲にも期待をしたのだ。

 このラヴェルの協奏曲を最初聴いたときは、オーケストラの曲想がとても古い感じがして、なんか太古のキャバレー音楽を聴くような違和感があった。その印象が改まったのは、ピアノ奏者の弾ける音の援軍だと思って聴くと、実によく出来ている。手に汗握るような演出。ボクのなかでは、ミケランジェリの録音が最高で、記憶力の乏しい最近にあって頭にしっかり溶けるくらい聴いたもの。さてボラーニはどうか?

 全体を通してみると、よく健闘したなあ、と思った。技巧的にはソレナリだし、ときとしてハッとするような響きも出す。ただそれが連続技で決まらなくて、決まったり、決まらなかったり。ゴメンなさい。ミケランジェリと比べるのは酷なのだけど。ジャズ奏者がやるラヴェル、のようなズルさが全くなくて、直球で勝負したことは良かったなあと思う。オーケストラの演奏も切れがよく、リズムもいいので、また聴いてみようと思った。

 第一楽章はなんか固めの印象で、また音のふらつきも気になった。うーん、あかんかな、とハラハラしながら聴き続ける。特に遅いフレーズで音がややバラケル感じ。早いフレーズで何とか取り返したり、よろけたりしながら第二楽章へ。

 第二楽章ではゆっくりと煌くような音を降らせて欲しいトコロなので、またまた心配ではじめる。トコロドコロ綺麗に音を響かせて、ほっとさせてくれる。頑張れ、と思いながら第三楽章へ。

 全速力ではじまる第三楽章は小気味よく切れ上がるような演奏で最初から最後まで安心して聴くことができた。技もそれなりに決まって、やるなあ、という感じ。というわけで、全体では「よく健闘」の印象。ほっとした。

このアルバムでは、あとStravinskyとWeillの曲をピアノ独奏。オーケストラのみの曲が2曲。案外面白かった。

この組み合わせでガーシュウィンの協奏曲集があるようなので、すっかり欲しくなった。いい組み合わせじゃないかなあ。

第一楽章

 

第三楽章

 

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Stafano Bollani & Riccardo Chailly:Sounds of the 30's(2012, Decca)
   1. Ravel: Piano Concerto in G - 1. Allegramente
   2. Ravel: Piano Concerto in G - 2. Adagio assai
   3. Ravel: Piano Concerto in G - 3. Presto
   4. Stravinsky: Tango - Tango (Piano version)
   5. Weill :Happy End (1929) / Part 2 - Songs of Love and Innocence - Surabaya Johnny
   6. Weill :Die Dreigroschenoper - Zuha"lterballade (Tango Ballad)
   7. Stravinsky: Tango - Tango (Orchestral version)
   8. Sabata :Suite from Le Mille E Una Notte
Stafano Bollani(p), Riccardo Chailly(cond), Leipzig Gewandhaus Orchestra