K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

和田直: Coco's Blues (1972) 「ありそうでない」部分が実に美味しい

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下記記事を読んでから欲しかったレコード。そんなに珍しい盤でもないのだけど、値頃なものを待っていた。

上記記事のルネ氏の云う日本のジャズへの感情、それと正反対、ということではなくて、日本人だから感じでしまう距離感、に対する嗜好の違いだと思う。1960年代末からの日本のジャズに強く感じるのは、本場に近づける、的な指向がスッと消えたこと。ジャズ本来のグルーヴ感やカタルシスを維持しながら、それを自分たちの音で実現しよう、という指向。だから聴くと、マイルス的だったり、コルトレーン的なのだけど、その違い、のようなモノがとても美味しく感じるのだ。

このアルバムもそうで、ブルーノート的な演奏のようで、そんなアルバムはブルーノートにはない、その「ありそうでない」部分が実に美味しい。

しかも、録音がブルーノートより遙かにいい(と思う)。独盤のような、やや唯我独尊的な耽美すぎる訳でもないし、米盤のようにエネルギー一本槍でもない。日本盤特有のバランスの良さを維持しながら、独盤の透明感、米盤のエネルギーをバランス良く身に纏っている。素晴らしい。TBMのレコードは細々と入手しているのだが、続けていて良かった、と思った。ココズ・ブルース

 

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(TBM12) 和田直: Coco's Blues (1972)
A1. One's Blues 6:27
A2. Billie's Bounce 12:07
A3. Guitar's Time 5:25
B1. Sick Thomas 7:34
B2. Coco's Blues 11:30
和田直(g), 信貴勲次(flh on A2, B2) 森剣治(as on A2, B2), 本田竹曠(p), 古野光昭(b), 倉田在秀(ds)
Alto Saxophone – Kenji Mori* (tracks: A2, B2)
Art Direction: 西沢勉
Engineer: 神成芳彦、黒田賢志(アオイ)
Cutting: 中村信(東芝
Producer: 藤井武
Recording: 東京KRCスタジオ on Oct.23, 1972

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