K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

金沢・柿木畠「もっきりや」渡辺貞夫4ではじめて出かけた

「もっきりや」って,つげ義春の漫画からつけた名前かな? 看板とのミスマッチ感が強いけど.
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金沢に住んでいますと云うと,「もっきりや」とか「York」の名前を挙げるジャズファンが少なからずいる.ボクはあまりマメじゃないので,コンサートとかライヴハウスで音楽を聴くことは,うまくタイミングを合わすことができない.だから,今に至って「もっきりや」にも出かけていなかった.(今になって「もっきりや」のサイトをみたら,8/1にVladimir Shafranovと東原力哉が来ているのをみて,かなりガッカリしている.ちゃんとみなきゃ!)

ナベサダがきます,と近所のバーの常連のMさんが教えてくださって,あわせて電話で予約までして下さった.そのお陰で,随分気になっていた「もっきりや」に初めて出かけることになった(Mさん,ありがとうございました).あまりライヴに出かけないこともあって,30年ジャズを聴いている割には,初ナベサダという情けなさ.だから,とても嬉しかったのだ.

ボクはアルトサックスが案外苦手で,持っているCD/LPも他の楽器と比べてそんなに多くない.なんかキンキンした感じの一本調子にきこえるプレイがとても多いから.好きなアルトサックス奏者というと,音色が豊かなArt Pepperくらいかなあ.Eric Dolphyは別格的大好きアルトサックス奏者なのだけど,実はフルートとバスクラリネットの演奏比率がとても高いので,アルトサックス奏者と括ることはできない.渡辺貞夫については,70年代のLP中心に持っているのだが,巧いアレンジでアルトサックスの弱点をカヴァーしているように思う.この20年の音は聴いていないのだけど.

という訳で,
 8/6「SADAO with YOUNG LIONS」 渡辺貞夫(as) ハクエイ・キム(p) 杉本智和(b) 竹村一哲(ds)
に出かけてきた.いろいろな意味で楽しめたライヴになった.

ぎゅうぎゅうに詰めて60席+αの「もっきりや」で渡辺貞夫を聴けたこと自体,これが素晴らしかった.渡辺貞夫と客席とのあいだで醸しだされる空気が暖かくなったり,愉快なったりすることを肌で感じた.小さなライヴハウスの良さを堪能.これに尽きる.演奏そのものは,前半のセットでは不調.渡辺貞夫の音が出ていなかった.正直,年齢のことを考えてしまって,複雑な心境だった.吹ききれないYardbird Suiteも辛かったなあ.指は動いているのに.それでも楽しそうにプレイする姿に救われた気持ちだった.ところが後半のセットで,なぜか大復調.冒頭のジャズロック風の曲から吹く・吹く.バラードあり,ブラジルありで文句なく渡辺貞夫のプレイを楽しめた.よかった.アンコールでYou'd Be So Nice To Come Home Toを吹き始めたときは本当に嬉しかった.Art Pepper Meets the rythm sectionの冒頭を想い出すファンが多いのにも関わらず,こだわりのない選曲で朗々と吹ききってくれた.しり上がりに調子が上がっていくのが分かる不思議なプレイだった.

共演者はYOUNG LIONSの名の通り,20代の若者達.生硬な感じのプレイでボクはあまり好きにはなれなかった.ピアノはトーンは綺麗だったのだけど,攻める処は攻めて欲しかったなあ.妙に成熟感を出そうとしている感じにきこえて.70年代中心に日本のジャズをフォローしていたから,そのイメージを求める無理は分かっているのだけど.

最後に初「もっきりや」の感想は「暑かった」!空調能力を超える60名はサウナ状態.辛かったなあ.普段はもっと少ないそうなので,そんなときに再訪しようと改めて思った次第でした.

「もっきりや」のなか.(演奏中ではなく,休憩中.演奏者は写っていない)