Pascal Rogé: Poulenc (1997, Decca)
A1. ナゼルの夜会(1936)
A2. 3つのノヴェレッテ
A3. 「ジャンヌの扇」~パストゥレル
A4. 3つの常動曲
A5. 「6人組のアルバム」~ワルツ(1919)
B1. 即興曲集(1959)
B2. 3つの小品
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これは中古LPレコード。ジャケットが洒脱で欧州製だったで、迷わず掴んだ。聴いてみると曲も洒脱。Rogéの演奏もはまって、とても気持ちよし。
実にいい加減なLPレコード/CDの蒐集をやっている自覚はたっぷり。勢いで自分にとって気持ちイイ音を求め歩いている。20世紀の音楽に焦点をあてて選盤。初心者なのでFrancis Poulenc (1899-1963)の名前は知らなかった。中古LPレコードの裏ジャケットをみて20世紀の人ネって確認しただけ。3枚ほど違う奏者のLPがあって、どれもジャケットに惹かれたので掴んできた。そのなかで、圧倒的にPascal Rogéの一枚に心惹かれた。Poulencはドビュッシーやサティの後の時代の人だそうで、彼らの延長上の音。ドビュッシーほどは一曲一曲のメロディ印象は強くないが、音の流れそのものがとても気持ち良い。音の流れ、微係数的な快感。冒頭のナゼルの夜会のpréambule、低音の唸りが心地良い違和感で、このレコードの当たりを即、確信できた。
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ジャケットはいい感じなのだけど、Pascal Rogéの一撃で印象が薄かった2枚。落ち着いてから聴きなおすことにするけどね。
Gabriel Tacchino (米AngelのLP) Jacques Février (仏EMIのLP)
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聴き比べたなかでPascal Rogéのものは録音の良さ(LPレコードの最終期はとても良い)もあるのだけど、ピアノを綺麗に鳴らしていることは確か。「音の流れ」が圧倒的に気持ちよい。特に高音が粟立ち、その粒度が丁度。そして、それが過度に甘くなっていない。Jacques Févrierの演奏はもっと質実な感じの演奏なのだけど気持よくない。同じ曲で、これだけ印象が異なることに驚いた。だから、演奏者と作曲者の関係が、1+1>>2となっているケース。RogéのPolenc(ピアノ曲)は3枚ある。だけど全部LPで揃えるのは難しいだろうな、と思うと、CDの全集が欲しくなった状況。困ったことだ。B面は比較的新しい時代の曲。流るような綺麗なメロディが多いのだけど印象が薄い。A面の曲のような綺麗な音がゴツゴツと当たってくるような快感がない。若い頃の曲のほうが良さそうだ。
今回の猟盤でPascal RogéのLPレコードはもう一枚買っている。ラヴェル曲集。これはジャケット的には手にとりたくなかった。昔のリチャード・クレイダーマン風だしね。Rogéが20代の売り出しの頃のようで、「ピアノの貴公子」的なキャッチがみえてくる。Rogéの名前は記憶にカスッているから、買ってきたのだけど。内容的には、アルヘリッチやミケランジェリを聴いた後なので、ちょっとノレない。Poulencの録音同様、高音をとても綺麗に響かせているのだけど、曲全体を貫く流れが薄い感じ。時々、流れが切れて気持ちが落ちるのだ。FévrierのPoulencと同じ印象(きっと、教科書的というような表現なのだろうな)。その割に高音だけは綺麗に粟立てるので、その落差で少し白ける。曲によっては、とてもいいのだけど。多分、劇薬的演奏を聴いた後なので辛くなり過ぎているのだろうけど。面白いものだ。Poulencの演奏の良さを知ると、今のRogéの演奏でRavelを聴きたくなったことも確か。
Pascal Rogé: The Piano Music of Maurice Ravel
英DeccaのLP。1974年
それにしても欧州製のLPを1000円以下で入手して楽しめる時代になったことは幸せだなあ、と深く噛み締めている。こうやって深みにはまっていくんだろうなあ。