K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ProkofievのVisions Fugitives(束の間の幻影)分かっちゃいるのだけど...


Artur RubinsteinのCarnegie Highlight(1961)

 

1. 「前奏曲集」第1巻~第10曲「沈める寺」(ドビュッシー)
2. 「映像」第2集~第3曲「黄金の魚」(ドビュッシー)
3. 「映像」第1集~第2曲「ラモーをたたえて」(ドビュッシー)
4. 「前奏曲集」第2巻~第8曲「水の精」(ドビュッシー)
5. マズルカop.50~第1曲~第3曲,第6曲(シマノフスキ)
6. 束の間の幻影op.22~12曲(プロコフィエフ)
7. アラベスクop.18(シューマン)  
8. ナバーラ(アルベニス)

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音楽と言葉って、不思議な関係を取り結んでいる。音楽なんて聴いて気持ち良ければ、あわよくば何か感じればイイと思うのだけど、時として言葉と複雑な化学反応、のようなものを生じる。1と1を足して、3とか4になるような、あるいはー1になるような...

ProkofievのVisions Fugitives(束の間の幻影)をはじめて聴いたのはRichterのライヴ。そもそもがShostakovichの前奏曲とフーガ目当てだったのだけど。輸入盤だったので、大概の曲名の意味は仏語が多く、分からないのだけど、いつの日だったか、Visions Fugitivesという言葉が「束の間の幻影」という意味だと知った。目眩に近いモノを感じた。そう、いつか自分だって彼岸の彼方へ渡るわけだし、この瞬間・瞬間が「束の間の幻影」に違いない。分かっちゃいるのだけど...

この20曲の小品からなるVisions Fugitives、20世紀の初頭に作曲された「20世紀の音」そのもの。とても純度の高い水を凍らせたような音が続く。冷たい結晶のような氷で淡い光が屈折している様を観察しているような感触。夢の切れっ端にまみれた朝、床の中で微睡んでいるようなとき、低く流れてくるような音の連鎖。微毒のある美しさ。やはり「束の間の幻影」をみているような時間。今朝、独り寝床のなかで風雪の音を聴いていた。窓をコツコツたたく固めの雪の感触、この曲を思いだした。

気になる曲は折々にアルバムが集まってくる:

Sergei Prokofiev自身の演奏(何年だろう?),Vladimir Sofronitsky(1946,一曲だけだけど),Heinrich Neuhaus(1956),Michel Béroff(1981),Sviatoslav Richter(1993), Olli Mustonen(1996)など。どれも素敵な冷たいきらめきに溢れている。なんとなく六道を彷徨う我を見下ろしながら聴いているような感触。

一昨日届いて、今日聴いているのは、Artur RubinsteinのCarnegie Highlight(1961)。ロシアの演奏者と随分違う、やや流麗な感じの演奏。(この)

それにしても、お香の匂いを感じながら、こんな曲を聴く雪の晩って、やっぱりしみじみとしてしまう。それも悪くないのだけどね。

 

蒐集にあたってブログ「気ままな生活」を参考にしました。