K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

日の幻惑、雪のある地方に住む魅惑


乗用車を持ってきたこともあって、今シーズンはスキー三昧、と云えなくもない。近いスキー場「セイモア」で40分,遠いスキー場「瀬女」で1時間足らず。朝の天候をみて、出立できるしね。夏の山登りといい、南に向けてスキーに出かける感覚は未だに馴染めないけど。不思議な感覚。

スキーに行けばスキーは楽しい。独りスキーも平気。疲れるまで滑って帰ってくる。加えて、今年は知ったヒトに誘って貰って、パン屋さんとはセイモアでの未圧雪斜面での滑走で雪にまみれ(歯が立たなかったのです)、餃子屋さんとは瀬女で滑走姿勢についての有益なアドバイスを頂いた。ぼんやりスキー歴27年に閃光のような刺激を受けた面白いシーズンになっている。本当にアカンなあ、と、少し闘志(のようなもの)が沸いたりするからね。

そんなスキーも楽しいのだけど、スキーの行き帰りも、また楽しい。

昔からのことだけど、雪山からの帰りの「あの」気分が好きなのだ。蓼科や北八ヶ岳をテント担いで歩いた後、真っ白な嶺嶺を仰ぎながらビールを呑む中央線の車窓。散々スキーで滑った後、友人と別れて独りで白馬やら白馬鑓をみて南下する大糸線の車窓。クロスカントリースキーでさ歩いた後、次次あらわれる神社や宿坊、それらを睥睨する戸隠山を眺めるバスの車窓。一日の終わりの斜光が嶺の麓から次第に頂きまで追い詰められていく時間。雪煙の向こうで散乱する傾いた陽の光。

そんな記憶が随分積み重なっている。

この金澤の地に住む日々、だんだんと夕暮れが早まる2月、早い仕事帰り、暮れゆく医王山や獅子吼の山を眺めていると、そんな記憶が交差する瞬間がしばしば訪れる。過去からの記憶、あの光,あの翳り、が蘇ってくる感覚に幻惑されることがある。スキー帰りに鶴来のあたりを走りながら、そんなことを思っていた。

だから、この金澤に住むコト,雪のある地方に住む魅惑にすっかり参っている。