K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

渡辺香津美: Jazz Impression (2009) 日本のジャズだから


 このアルバムもテキサスのホテルで随分と聴いた。とても好きなアルバムで、自宅でも良く聴いている。殆どLPレコードを聴いている中で、CDでは一番だと思う。金沢での井上陽介とのデュオを聴いた時に購入。だからサイン付きCD。ミーハーだなあと思うけど。

 日本のジャズだから、好きなのだと思う。不思議なオトだと思う。ジャズ回帰って命題で金沢でライヴをやったのだけど、確かにジャズなのだけど、何だろうこのオト。このCDを聴いた後にパット・マルティーノウェス・モンゴメリーを聴いたら、彼のギターの違いが際立ったように思う。確かに手が早い。だけどマルティーノのように正確に刻む訳でなく、訳が分かんない内に刻まれた感じ。ウェスのように唄う部分がある訳でもない。緊迫感があるような、ないような。このように書くと否定的に響くのだけど、パット・マルティーノウェス・モンゴメリーとの違い、から見ると確かに否定的。

 だから改めて、日本のジャズだから、好きなのだと思う。あのペケペケという手癖はTBMのLPレコード(日野元彦だったかな)に若手ギター奏者として入っていた頃のままだし、スピードを詰めていくときのムタムタな感じもそう。だから聴いているうちに、あの頃の日本のジャズの香りが案外残っていて、そこに惹かれるのだと確信した。勿論、フュージョン的なアプローチも含めて。そう捉えると、一見纏まりのないように見えるアルバムも、その頃の空気を21世紀に持ち越して、少し発酵させた味わいがあると思えるのだ。

 最後の曲、Inner Windを聴きながら心地よさに浸る。金沢での演奏を想い出す。よかったなあと、何回も反芻できるって、いいことだよね。

http://www.ewe.co.jp/archives/2009/09/jazz_impression.php で試聴可能

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渡辺香津美: Jazz Impression (2009, ewe)
1. Route65
2. All The Things You Are
3. Impressions
4. Meteor
5. Four On Six
6. A Child Is Born
7. El dorado
8. Venetian
9. Cool K
10. Hot K
11. Inner Wind
渡辺香津美(g), 井上陽介(b), 則竹裕之(ds), 本田雅人(ss), 藤陵雅裕(ss), 山木秀夫(ds)