K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Thelonious Monk: The Unique (1956) 死者の与うる揺らぎ

 やはりモンクは好きだ。正反対のエヴァンスとモンクが好きだ、というのは可笑しい感じもするが、脳内快感器官が幾つかあって、異なる器官が「イイ」って云っているように思える。だけど、二人とも共通するのはピアノの響きの美しさ。古いプレスのLPレコードの美音、に思いを馳せたとき、この二人をとっさに想起したのだ。

  今宵聴いているのはRiversideが現役の頃のプレス。モノラル・カートリッジで聴くピアノは叩きつけるような強いタッチが直に伝わる。何回も何回も表裏をひっくり返し、聴いている。膜のような音の障害を取り払った、直接ピアノの音が響き渡る。間合いをたっぷり孕んだタッチは、ピアノを響かせるものだ、ということがよく分かる。そして、確かにピアノ・トリオの演奏なのだけど、ベースやドラムの記憶は、聴いた端から消えていく。それだけモンクの音の存在感は圧倒的。むしろ、邪魔にならない揺らぎ、を与えて得ているブレイキーやペティフォードが偉大なる伴奏者であることを知る。後年のラウズはやっぱりイケないしね。

 死者の与うる揺らぎ、のようなものに酔いしれる日々が続く、というのも如何なものだろうか、と思うのだけど、酒よりも酔えるのだから仕方がない、仕方がない。

 

 

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Thelonious Monk: The Unique (1956, Riverside)
    A1. Liza
    A2. Memories of You
    A3. Honeysuckle Rose
    A4. Darn That Dream
    B1. Tea for Two
    B2. You Are Too Beautiful
    B3. Just You, Just Me
Thelonious Monk(p), Oscar Pettiford(b), Art Blakey(ds)