K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

富樫雅彦:The Ballad/ My Favorite (1981) 美しいアルバム

f:id:kanazawajazzdays:20160703122416j:plain

 とにかく美しいアルバム。前にも書いたが、この時期のキング・レコードには素晴らしい録音が多い。ECMほど残響を加えず、しかし同じくらい奥行きのある音を造っている。 

 そして、何より富樫雅彦佐藤允彦の音が美しい。佐藤允彦のピアノがスタンダードをやると、どうしてもピアノの美しさが際立って、ジャズとしての味が希薄になるような気がする。だから、彼の演奏はややフリー方向に向けて、ジャズの味を出すような感じかなあ、と思う。しかし、このアルバムでは富樫の清澄な打楽器の音、そしてキレのよいブラッシとシンバルで、強いリズムを叩きだし、ピアノの甘さとジャズとしての味を両立させている。普通のドラマーの半分しか「音源」を持っていない当時の富樫だけど、リズムのみならず、佐藤と一緒に囁くような打楽器の饒舌さには驚く。

 ふっと夜中にゆっくりと聴きたくなるようなレコード。音量を上げる必要はない。

---------------------------------------------------------

富樫雅彦:The Ballad/ My Favorite (1981, Paddle Wheel)
A1. Memories of you
A2. It never entered my mind
A3. Shenandoah
A4. Nightingale sang in Berkeley square
B1. Nature boy
B2. Too young
B3. My ship
B4. What kind of fool am I
富樫雅彦(perc), 佐藤允彦(p), 高木健司(b)

f:id:kanazawajazzdays:20160703122503j:plain

f:id:kanazawajazzdays:20160703122516j:plain

f:id:kanazawajazzdays:20160703122533j:plain