K’s Jazz Days

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ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Eric Dolphy: At The Five Spot, Vol. 1 (1961) ドルフィーの管の響き、マルのピアノの響き(RVGもう少し)

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 昭和天皇崩御のときに真っ先に感じたのは、歴史上に名前を残した元老、たとえば伊藤博文と接した最後の人物であり、山縣有朋とは宮中某重大事件で関係した訳で、維新の空気を微かに知っていた筈の最後の人物でもあった、ということ。

 ルディ・ヴァン・ゲルダーの逝去についても、それに近い感覚。ジャズ史に残る多くの巨人をリアルに知った最後(あるいは最後に近い)の人物ではなかろうか。合掌。

 だからRVGを追いかけることは、それを追体験することである、と改めて思った。だから、PresrigeとImpulse !を少し聴いて、また、平常に戻りたいと思う。

 PrestigeのRVGで次に聴きたいと思ったのは、ファイヴ・スポットドルフィー。オリジナルはNew Jazzのモノラルだけど、持っているレコードは後年のステレオ盤。RVG刻印盤。安い。(Far CryはNew Jazz盤、そっちの方がカッコ良かったかな)

 何を聴きたかったかというと、ピアノの音。このアルバムはマルのピアノの音が良かった、印象があるから。

 確かファイヴ・スポットは狭いクラブだったらしいから、録音環境は良くなかったかもしれないが、鮮やかに捉えている。やや楽器間の距離が離れて分離しすぎているように思える。真ん中にデイヴィスのベース、左にマルとドルフィー、右にリトルとブラックウェルのドラム。

 ドルフィーのアルト、バスクラは完璧。強い音圧で彼の息吹まできこえるような勢いで、激しい音のアップ・ダウンを捉えていて満足。トランペットはややオフ気味であるが、バランスはとても良い。マルのピアノソロも実に美しく、Blue Note的なクグもった音は全くない。1960年代に入って、ダイナミック・レンジが向上したのか。とても気持ちの良い録音。何よりもドルフィーの管が、リアルに感じることができる、それが嬉しい。彼の良さ、は楽器の美しい共鳴、にある。

 このアルバム、良い意味で「普通のジャズ」にきこえる。ドルフィードルフィーなのだけど、力量のある共演者達に丁寧にソロをまわしているので、「薄まっている」ようにも思える。欧州のライヴだと独演会なので、満足度が高いかも。過去、欧州録音ばかり聴いていた理由が何となく分かった。

apple music:


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Eric Dolphy: At The Five Spot, Vol. 1 (1961, New jazz)
A1. Fire Waltz
A2. Bee Vamp
B. The Prophet
Eric Dolphy(as, b-cl, fl), Booker Little(tp), Mal Waldron(p), Richard Davis (b), Ed Blackwell(ds)
Recorded byRudy Van Gelder
Recorded July 16, 1961.
Prestige: PRST 7611
Vinyl, LP, Album, Reissue, Stereo
Released: 1969

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