K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Paul Desmond: Bossa Antigua (1964) 夏が来ると

 どうも金沢には春らしい春がない。自転車を漕ぎながら凍えた先週から、ほんの数日で30℃手前まで。街中の緑が堰を切ったように濃く濃くなっていく。道路には淡い土埃と陽炎が浮かんでいる。

 まだ大気が暖まるほど、こんな日は続いていない。だから仕事場のなかは案外快適で、少し緩い空気を楽しむ感じ。そして、ポール・デスモンドのCDをかけている。なかむらとうようのボサノーヴァ紹介本で改めて認識したアルバム。LPレコードでも先日入手した。

 とても滑らかで快適な音楽。いわゆるムード音楽って云ってもいい程、引っかかりがない。ポール・デスモンドジム・ホールの音は、そんなつまらない音楽性云々談義を乗り越えて、最上の心地よさを流し続ける。彼らの感性とボサノーヴァの相性がとてもいい。自然体の音があたかも脱力したように聴かせるが、気持ちを持って行くとしっかりと印象を残す、そんなアルバム。

 これから夏が来たら思い出しそうなオト。それも小さな音量でいつのまにか始まって、終わる。そんな聴き方がいいな、って思うアルバム。

 

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Paul Desmond: Bossa Antigua (1964, RCA)
A1: Bossa Antigua 4:30
A2: The Night Has A Thousand Eyes 4:41
A3: O Gato 4:23
A4: Samba Cantina 5:29
B1: Curação Doloroso 4:26
B2: A Ship Without A Sail 6:08
B3: Aliança 4:26
B4 : The Girl From East 9th Street
Paul Desmond(as), Jim Hall(g), Eugene Wright(b), Connie Kay(ds)