エルヴィンの強靭なリズムのうえで、ピアノとテナー・サックスが唄う素晴らしいアルバム。ビル・エヴァンスのLPレコード蒐集のなかで、比較的最近に入手した一枚。唄うように、しなやかな演奏、ときとしてムーディーな音楽に聴こえてしまうのだけど、そう聴かせてしまうほど、よく練られた素晴らしいインプロヴィゼーションを弾くふたり。その二人の共演、というだけで心躍るのに、そのアルバムのドラムがエルヴィンだと思うと興味津々なのである。
中山本に記載されているとおり、A面最後のFunkalleroは、エルヴィンが叩き出すオトではじまり、強いリズムがうねり出す。その上に乗るエヴァンスのピアノも自トリオのものより、やや高温であり、更に熱いゲッツのオトが重なると、息も継げないような昂奮が高まる。黒人ジャズを聴くような高まりのなかで演奏する二人のプレイの熱さ、が素晴らしい。
長らく蔵入りだったのが不思議な1枚。ちょっとした愛聴盤になっている。ゲッツもエヴァンスも、コレダケ熱くなるんだ、と愉しんでいる。
--------------------------------------------------------------
Stan Getz & Bill Evans(1964, Verve)
A1. Night and Day
A2. But Beautiful
A3. Funkallero
B1. My Heart Stood Still
B2. Melinda
B3. Grandfather's Waltz
Stan Getz(ts), Bill Evans(p), Ron Carter(side-A), Richard Davis(side-B)(b), Elvin Jones(ds)