K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Brad Mehldau & Christian McBride@Blue Note (June 6, 2014) 1+1=2あるいは2+2=4


 今回のニューヨーク滞在の大きな目的の一つは、金曜日の晩にBlue Noteであるアンドレ・プレヴィンとクリスチャン・マックブライドのデュオ。10年位前の同じくニューヨーク・Jazz Standardsでのライヴでプレヴィンは、ヘンクのベースとのデュオで美しく、楽しい、ピアノを達者に聴かせていたので、それは楽しみだった。

 Blue Noteに到着すると、演者がブラッド・メルドーに変わったことを知って、ガッカリだったのだけど、メルドーならば良かろう、ということで、早々に気を取り直した。

 演奏内容はほぼスタンダード曲。プレヴィンを聴きに来たお客相手だから、そのような配慮だろう。スタンダード曲から音数を増やし巧者であることを見せつけるマックブライド。これは凄かった。一方、音数を最小限にしピアノの音を引き出すメルドー。ソロで聴かせる「あの世界」を垣間見ることができ、これも満足した。ただ二人の志向がかなり違い、ほぼすれ違っていたこと、が残念だった。デュオの妙味って、会話を通じた演奏の深まりや音の速度感ではなかろうか。その意味では、1+1=2でしかなかった点、まさに緊急事態(プレヴィンが何らかの事情で出られない)の代打、ということだろう。代打としては最高の人選、これも納得しているのだが。

 ただ、それぞれの楽器での満足度は2と2。2+2=4といった感じの、不思議な演奏にそれなりは満足した、という感じだ。ただ、Wayne ShorterのFootprintsだけは違った。曲の持つ速度と、二人の内面の速度がほぼ一致し、2+2<<4。素晴らしくスリリングな演奏となった。

 メルドーの話しでは二人の演奏は25年ぶり。Smokyなジャズクラブだったよ、と演奏中の喧噪が気になるBlue Noreへの皮肉(かなあ)のような話。ボクの両隣(ラテンおばちゃん組とアフリカ系カップル)も煩かったなあ。

 それにしても選曲を上手くやったり、それこそFender RhodesとFender Bassくらいの電化サウンドでやれば、恐ろしくスリリングなデュオになるんじゃないかなあ、と思わせる2人であった。さすが。

 それにしても、あの選曲ならば、プレヴィンとマックブライドの組み合わせは饒舌で華麗なんだろうなあ、と改めてとても残念な気持になった。

Brad Mehldau(p), Christian McBride(b)
Blue Note (the first set, June 6, 2014)