これは、大好きだったWRへのオマージュ。とても優しく、respectし、そして時代の摩耗から再生している。
Weather Report、特にJaco時代以降(Heavy Weatherより後)の音は、時間とともに古くさくなっていて、どうも聴くに耐えない。ひとつには「Improvisation率」のようなものが低下し、編曲に頼っている部分が大きい事・もうひとつは、その編曲がシンセサイザの合成音に頼っている部分が特に駄目なように思う。要はザヴィヌルらしい部分が劣化している。これは、当時から云われていたことなのだけど、30年の時間に耐えないことが明らか。だからWR解散後のザヴィヌルもImprovisation率を再び上げて、ポリ・リズムに編曲の重きを置いて復活したよね。WR解散後に発売されたライヴの良さをみても、そんなことだと思う。
そんなWRの中期くらいの雰囲気を、初期の楽器編成(perc抜き)で再現したようなアルバムがMoutin Reunion QuartetのSomething Like Now。当時感じていた「WRに対するイライラ感」をすっきりさせたような演奏。WRの複雑なビート感のうえで存分にImprovisationを楽しみたい、という感覚に応えている。
ボクは別にアコウスティク楽器礼参者でもないけど、アコウスティク・ベースで、ここまでやるのは凄いし、かといって編曲のなかでのバランスを越えないのもいい。ピシピシ決まるドラムと造りだす快楽指数は高い。サックスはしっかりショーターだし、ピアノはザヴィヌルがつくった音場のようなものを感じさせる(コピーという意味じゃない)。気持ちがいい。
このMoutin Reunion Quartetがそのような路線ということじゃなくて、このアルバムのコンセプトのよう。別のアルバムでは、ワニ氏が語っていた「現代ジャズ」ってコレかなあ、のような格好よしのジャズ。編曲能力、演奏能力の高さ、を強く感じた。
最近は面倒になって、「音を考える」ことを休んでいたのだけど、気がつくと聴いているアルバムを紹介。
ホントにいいので聴いてみて
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Moutin Reunion Quartet: Something Like Now (2005, Nocturne )
1. Something Like Now, Pt. 1
2. Something Like Now, Pt. 2
3. Bird's Medley
4. Take It Easy
5. Surrendering
6. M.R.C.
7. Tomcat
8. Echoing
9. Bottom Line, Pt. 1
10. Bottom Line, Pt. 2
11. Touch and Go
Francois Moutin(b), Louis Moutin(ds), Pierre De Bethmann(p), Rick Margitza(ts)