Art Blakey & The Jazz Messengers: Anthenagin (1973, Prestige)
A1. I'm Not So Sure (Cedar Walton) 7:07
A2. Love: For The One You Can't Have(Woody Shaw) 6:23
A3. Fantasy In D (Cedar Walton) 8:38
B1. Anthenagin (Cedar Walton) 11:56
B2. Without A Song (W. Rose, E. Eliscu, V. Youmans) 5:35
B3. Along Came Betty(Benny Golson) 6:06
Art Blakey(ds), Woody Shaw(tp), Steve Turley(tb on A2 to A3), Carter Jefferson(ts), Cedar Walton(p), Mickey Bass(b), Tony Waters(congas), Michael Howell (g on B3)
Producer: Orrin Keepnews
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アート・ブレイキーはあんまり好みでもなくて、例外的にメッセンジャーズ結成前のバードランドをタマに聴くくらい。これも、ホレス・シルバーのピアノの躍動感、クリフォード・ブラウンのトランペットの端正なハイ・ノートに惹かれているような感じかなあ。むしろ脇役的な感じで、そろっと叩いているときのほうが味がある、ように感じている。モンクのトリオとか。
しかも豪華なメンバーを要していた1960年代前半を過ぎると、影が薄い。実は1966年だったかのButtercorn LadyというLimelight盤を持っているが、これはキース・ジャレットの初期の録音ということで。トランペットは「あの」チャック・マンジョーネ。そのアルバムは編曲も良くないし、なんか悲惨な印象。ボクがジャズを聴きはじめた1970年代のお仕舞い方では、完璧に忘れられた人(歴史上の奏者としての記憶)だったように思う。1980年頃に10代のウィントン・マルサリスを要して出したレコードが案外元気で驚いたのも、もう昔の話になってしまった。
そんな話題にのぼらない1970年代初頭のアルバムが案外いい、とネットで知って、ちょっと気になっていた。という訳で、入手。1000円ちょっと、だったし。これが、望外の当たり。フロントがウッディ・ショウとカーター・ジェファーソン、ときどきスティーブ・ターレが加わる。これ、1970年代後半のウッディ・ショウのバンドそのもの。これにシダー・ウォルトンがピアノとフェンダー・ローズで。しかも編曲は行き届いた感じで、ブレイキーは控え目。悪い訳がない。
は中庸な破綻のない演奏で、真っ直ぐ引っ張っていくドライヴ感だと思うのだけど、本盤、まさにそこが嬉しい。ブレイキーも巧い。カーター・ジェファーソンもショウと似た感じのテナー。好み。Timelessのリーダ作(何と、ショウがプロデュースし、ヒックス、日野皓正、大野俊三と共演)が気になってきた。
シダー・ウォルトンって、村上春樹の本でピックアップされているのだけど、ボクには、なかなかピンとこない。だけど、このアルバムでは1970年代ジャズの雰囲気満載でグルーヴしているので良い。
何かブレイキーのレコードだか何だか、なんだけど、1970年代ジャズの佳品、だと思う。