K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ECM

(ECM 2613) David Torn, Tim Berne, Ches Smith: Sun Of Goldfinger (2015, 2018) 冷たい昂奮

先日に続き、トーンのアルバム。 前作であるOnly skyの音世界に、バーン、スミスも溶け込んでいる。いや、溶けてはなくて、様々な方角に鋭い切っ先を向けているような感じ。予定調和的な次元ではないのだけど、上位層で構造化(作曲行為)がしっかりされてい…

(ECM 2433) David Torn: Only Sky (2014) 意識と無意識の境界にあるような時間に

ギターとウードのソロ。全編、環境音楽的な浮遊する世界であるが、そのなかで弦の歪みのようなものが造る「変調」のようなものに惹かれる。フリーキーな音、インプロ的な無調を、音空間に閉じ込め、音響的な処理でECM的な印象そのものに。それも本来的な好み…

Marcin Wasilewski@ Cotton club

昨日は仕事上のこと、技術的な興味に従って、高輪から鶴見へ。技術談義。そこで話を伺ったH松氏(あの橋本一子ファンの、昨日は本業に興味があったので)から、「マルチン・ボシレフスキ聴きに来たんでしょ」を云われ、はじめて気がついた。それぐらい仕事に…

(ECM2538/39) Gidon Kremer: Mieczysław Weinberg/Chamber Symphonies, Piano Quintet (2015)のうちPiano Quintet

新年最初はこのアルバムのなかのピアノ・クインテット。昨年、実に良く聴いた。冒頭の甘い音色にやられた。音響的な面白さ、昂奮という意味では、クラシック・現代音楽、アヴァンギャルドなジャズ・即興音楽も同じような愉悦を生むのだけど、クラシック系の…

(ECM2587) Elina Duni: Partir (2017) 欧州のジャズと共通する普遍的な音楽性

前作ではアルバニア出身の唄い手であるが、その出自をあざとく使うような感じが一切無く、その自然体のような音が良いと思った。 前作ではコリン・ヴァロン・トリオが伴奏していたが、今回は本人のみ。多重録音もあまり使っていないように(いや全くか?)、聴…

(ECM1569) Herbert Henck: Alexandr Mosolov/Untitled (1996) 20世紀はじめの周縁のクラシック

好きなピアノ奏者。冷ややかな音がECMによく合っている。現代曲も良いが、20世紀はじめの「周縁のクラシック」も嬉しい選曲。 モソロフはショスタコーヴィッチより少し早く生まれたソ連期の作曲家。厳しく迫害を受けている。 アレクサンドル・モソロフ - Wik…

Globe Unity: Compositions (1979) その昔の予習用のレコードで復習すると

その昔、ほぼ同じ時期にICPオーケストラとグローブユニティ・オーケストラを聴いた。大阪とか京都で、1980年頃だと思う。ICPオーケストラは後から出たライヴ・レコードで復習、グローブユニティ・オーケストラは、このレコードで予習。そのときは圧倒的にICP…

(ECM 2575) Barre Phillips: End To End (2017) 音の宇宙を込めた静謐にして饒舌な音楽

LPレコードをまとめ買いするために随分と待ったレコード。 まずレコードで聴きたかったから、ストリーミングでも聴かなかった。そして、それが良かった。針を落とした後の、音が音としての強度を主張し、それに圧倒された。ジャンルとか、即興だとか、そんな…

ECMの新譜(レコード)

ECMに注文していたレコードがようやく届いた。米国と比べ、欧州は送料が安い。またECMではレコード20ユ−ロ、送料は枚数にかかわらず一律10ユーロなので、数をまとめると国内で買うより、ぐっと安くなる。 そんな訳で早く欲しい気持ちを抑えて、まとめ買い。 …

今日届いたレコード(ECM最難関ほか)

今日届いたレコード3枚。上2枚はECM。ECMのレコードは残りが6枚となった。ただし最近の新しいもので未発注は数枚ある。メンコ集めみたいなもの。 ゆっくり集めていたが、数年でここまできた。上左のレコード(日本でのみ発売の最難関)を除き、大半は1000…

(ECM1726) Herbert Henck: Conlon Nancarrow, George Antheil/ Piano Music (1999) どんな作曲家かと調べたら、CDから流れる音よりも面白すぎて

ヘンクの硬質なピアノの音は好み。熱心ではないが、少しずつ買い足している。モンポウやジョン・ケージの初期作品集は良かったな。どんな作曲家かと調べたら、CDから流れる音よりも面白すぎて、惹き込まれた。 コンロン・ナンカロウ - Wikipedia 1912-1997 …

Björn Meyer

昨日(10/3)は、昨年、ECMからベースソロのアルバムを出したビョルン・マイヤーのライヴ。やはりベース・ソロ。ECMでぼベース・ソロというと、どちらかと云うとフリー系の奏者を想起するが、彼はニック・ベルチュのRoninのベーシスト。電気ベースでミニマルな…

ECMのLPレコードカタログ

ECM

昨年に続いてECMのLPレコードカタログが発行された。ECMに直接レコードを注文すると、同梱してくれる。2枚購入すると、送料込みでDUよりは安価。昨年版は2冊入手していた。

(ECM1086/87) Keith Jarrett: Hymns Spheres (1976) ちょっとなあ

このアルバムに苦手感があって、ECMのレコード聴きを中断していた。30年以上ぶりに聴いてみると、やはり苦手かなあ。 ピアノ弾きがピアノのように弾いて、水彩画のパレットに色を沢山入れすぎて、滲んだような演奏が1枚目。2枚目になると残響を空間に置換…

ECMレコード記録の再開・整備(youtube削除, apple music/spotifyリンク追加)

ECM

ECMのレコードはじっくり聴いて、メモを作りたいと思っているが、中断している。再開したいなあ、と思う。 空き時間で過去の記録の整備(youtube削除, apple music/spotifyリンク追加)をはじめた。職場でぼんやり聴くには、インデックス代わりに便利なよう…

ECMでの日本人奏者のこと(Shinya Fukumori: For 2 Akisのストリーミング開始に際して)

ECM

無料でストリーミングを聴くことができるsptifyのリンクを貼り付けた。 ----------------------------------- 独ECMレーベルから、大阪出身の福盛進也氏がリーダ作を出したことが話題になっている(For 2 Akis)。早速、ストリーミングがはじまったので聴いて…

(ECM2576) Thomas Strønen, Time Is A Blind Guide: Lucus (2017) ECMから北欧の軒続きに

実に美しい。とかく過剰残響が気になるECMだけど、これは適量。打楽器を中心に据えつつも、打楽器の乾いた美音に潤いを与える弦やピアノの煌めき。Thomas Strønenの曲、いいなあと思う。巧くジャズよりは現代音楽寄りのあたりを攻めている感じだ。 このなか…

ECMストリーム解禁(まとめサイト的なものリスト)

ECMのストリーム解禁(apple music, Spotify)は喜ばしい。 プレス・リリース: ニュース: 基本的には音響を愉しむレーベルなので、CD/レコードで聴くべきなので、購入前に試聴ができる、からである。またECMファンって、所謂ジャズファンと重畳しながらも…

(ECM2526) David Virelles: Gnosis (2016) 21世紀のジャズのなかに感じること

近所のyuccaさんのtweetで少し気になった。 David Virelles "Gnosis"めちゃめちゃいい。最近語彙はめちゃめちゃいい、しか使えてないけど、これは良い。Afro CubanとECMの見事な融合。融合というか抱擁?かっこよすぎ。こんなルンバやられたら惚れるしかない…

(ECM2385) Glauco Venier: Miniatures (2013) 打楽器が醸し出す空気感

このような強くmanageされたような「沈黙の次に...」には随分飽きがきていて、ECMはもういいかな、の感覚が強くなっていた筈だ。だから1970年代を思い出させるような最近の意欲作に驚いているのだ。 しかし、このアルバムはあざとい程のECMイメージの中に…

(ECM2579) Tim Berne & Snakeoil: Incidentals (2014) ティム・バーンはワン・パターンか

先日、ディスクユニオン新宿で買ってきたもの。価格が落ち着くのが待ちきれなかったので、普段の1.5倍くらいの価格で購入。このティム・バーンの新譜はECMから。バーンの音源は、何を聴いても同じように聴こえることは否めない。ティム・バーンはワン・パタ…

Okwui Enwezor,Markus Mueller編:ECM/A Cultural Archaeology(2013) 無印良品で売っていたECM本

ECM: A Cultural Archaeology 作者: Diedrich Diederichsen,Kodwo Eshun,Renee Green,Okwui Enwezor,Markus Mueller 出版社/メーカー: Prestel Pub 発売日: 2013/01/28 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 金沢から東京に転勤したS君が、「…

Lars Muller: Sleeves of Desire (1996) 30年以上前を鳥瞰しているような、不思議な浮遊感とともに

Ecm: Sleeves of Desire : A Cover Story (Edition of Contemporary Music Sleeves of Desire : a Cover Story) 作者: Lars Muller 出版社/メーカー: Princeton Architectural Pr 発売日: 1996/07 メディア: ペーパーバック クリック: 1回 この商品を含むブ…

(ECM 2494/95) Roscoe Mitchell: Bells For The South Side (2015) 精緻な音の空間

ボクはAEOC関連のアルバムについては、ブリジット・フォンテーヌでしか聴いていなくて、極めて縁が薄い。だから、このアルバムが彼らの過去の業績に照らしそうか、なんてことは書けない。むしろ、ソーリーとかテイボーンとかの参加が気になっていた。 AEOCに…

(ECM2518) Dominic Miller: Silent Light (2016) こんなECMも好きだなあ

ECMに直接注文して入手したレコード。数ヶ月分の何枚かをまとめて頼むと、送料を考えても国内の店で買うより安価。 かなり機械的に注文した訳で、中身は入手してから確認。ギターのドミニク・ミラーのアルバムだけど、知らない。スティングと共演していたそ…

(ECM2512) Theo Bleckmann: Elegy (2016) 初期のPMGを彷彿とさせる

いつの間にか梅雨に入ったのか、雨。こんな朝はECMを聴く気分、になる。ハワイから帰ってきたら、届いていたCDを聴く。 妙に、琴線に引っかかるのだ Theo Bleckmann - Elegy - あうとわ~ど・ばうんど これを読んで、ハワイに行く前に注文していたもの。 聴…

(ECM1877) David Torn: Prezens (2005)  大音量で目眩を感じながら

クレイグ・ティボーン聴きの一環で入手したアルバム。一連のアルバムのなかで、幾つか気に入ったアルバムのプロデュースを、ティム・バーンが行っていることに気がついた。ティム・バーンの素晴らしく格好がいいアルバム、がそれらだ。アヴァンギャルドな素…

(ECM2258) Chris Potter : The Sirens (2011) 現代音楽と通底するテイボーンの美しい音

ここのところのティボーン聴きシリーズで気に入った一枚。どうもクリス・ポッターは「丸くなったブレッカー」という感じで、あまり聴かない。巧いし、なかなか聴かせるのだけど、ちょっと印象を残さないところがある。 このアルバムは、James A. Farberによ…

( ECM2527) Craig Taborn: Daylight Ghosts (2016) その断面に顔を覗かせる埋蔵物

幾つかのアルバムを聴くなかで、クレイグ・ティボーンの音響的な面白さ、美しさ、味わい深さを感じ、徐々に深みに入っているような感覚がある。決定的だったのは、ECMからのAvenging Angelで、現代音楽が抱える「ある種の空気感」のようなものを、ジャズにre…

(ECM2528) John Abercrombie: Up And Coming (2016) 1970年代のアルバムと云われれば

時間が止まった、ようなアルバム。これが1970年代のアルバムと云われれば、そうだと思うだろう。そこに時間の流れがない。中庸なインタープレイを交えたジャズの小品、なのだ。それがECMに相応の数がありそうで、あまりないようにも思えるがどうだろう。 ボ…