K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

ECM

(ECM2517) Colin Vallon: Danse (2016) ただの清澄なピアノトリオのようで、案外毒っぽい

先日、ECMから直接届いたLPレコード。最初は酔っていたこともあって、音にピンとこなかったが、音質、内容ともに、面白さを感じてきた。ここ数日、超多忙なこともあって、あまりブログも更新できていないが、こればかり聴いていた。 コリン・ヴァロンはスイ…

(ECM1085) Keith Jarrett: The Survivors' Suite (1976) 存在したことがない音への強烈な喪失感

(ECM1085) Keith Jarrett: The Survivors' Suite (1976)A. The Survivors' Suite (Beginning) (Keith Jarrett) 27:34B. The Survivors' Suite (Conclusion) (Keith Jarrett) 21:32Keith Jarrett(p, ss, recoder, celesta, perc), Dewey Redman(ts, perc), Ch…

(ECM 2207) Craig Taborn: Avenging Angel (2010) それにしても美しい

先般から、幾つかのアルバムを聴いて、過剰ではない音、の空間的な広がりのようなものに魅了された。硬質な音が如何にもECM好み、ではあるのだけど、現代音楽とジャズの境界線にピタッと音を流していく、そして自己陶酔的な美音ではなくて、緻密に作曲されて…

ECMの新譜(LPレコード)が続く

ECM

ECMでのLPレコードの出版ピッチが上がったようだ。サイトでの確認が欠かせなくなった。20 Euro/枚。新譜を2枚注文し、送料が10 Euro。総計50 Euroとなる。格段安くもないが、高価では決してない。毎月の確認が欠かせなくなった。 ボクがレコードでECMの新譜…

(ECM1084) Eberhard Weber: The Following Morning (1976) どう聴いても彼の音楽

時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。 むしろ作曲行…

ECMのレコード紹介本(New Albums on Vinyl From Analog Masters, spring 2017)

ECMの新作もレコードで入手しようと決断。音が存外にいいのだ。 12月のはじめに、ECMのサイトで送料無料の特別セールが案内された。 サイトで購入可能な、未入手の盤3枚を注文。年末にようやく届いた。 そのなかにECMの販売中のレコード に関するパンフレッ…

2016年という一年、いや九ヶ月を考える(ECMを後衛とした構図)

ボクは時系列に興味を持ったものを飛び跳ねているだけなので、とても今年のベスト、を語ることができるような纏まった何か、はない。外の方々の「まとめ」を有り難く読み、漏れを拾っている。 ただ4月に聴いたEvan Parkerの影響は甚大で、あのような「広範…

(ECM2473) Meredith Monk: On Behalf Of Nature (2015) 幾たびも幾たびも同じ手で騙されると知っていても

つい手が出てしまうなあ。 聴くと、悪く云うとマンネリ、聴いたことがあるヴォイスや打楽器やピアノが流れる。だけど、その音世界は懐かしくも手が届かず、追いかけても消えてしまうような、儚い蜃気楼のような、ありもしなかった過去を覗いているような感覚…

(ECM2474) Ches Smith: The Bell (2015) 現代音楽的な音響とジャズ的な躍動が交叉するような驚き

実は秋頃からとても忙しい。金沢では、引き籠もりながら、山に登ったり、走ったり、釣りをしたり、音楽を聴いたり、そんな生活のために来た筈なのだけど、どうも違ってきた。まずい。忙しくして年収が増える訳でもないので、なおのこと困る。どうしたものだ…

(ECM1083) Terje Rypdal: After The Rain (1976) 「あの奇妙な味」の世界を静謐に語り続ける

最近、強く思うことは、ジャズがジャズであるその大切な要因は、「奇妙な・違和感のある味」を感じさせることではないだろうか。決して即興とか、グルーヴでも、スウィングではない。フリー・ジャズも口当たり良く、スムースになったハード・バップへのアン…

(ECM1082) Arild Andersen: Shimri (1976) かつての欧州ジャズの脆弱性

アンデルセンの前作のときもそうなのだけど、聴いたときの印象を書くことができなくて、このシリーズ(ECMのレコードを聴く)が滞っている。今回も同じ。一月以上、なんか書く気が起こらなかった。 なぜだろう。確かに美しい音楽なのだけど、それ以上のもので…

ECMのホームページで送料無料(12/4まで)Vinyl records loverは急げ!

ECM

ジャズCDの個人ページBlogの工藤さんや月光茶房の原田さんからの情報で、噂になっていた謎のECMからのリリース、10インチのレコードが遂に正式アナウンスされたと。 でECMのHPを確認すると、12/4まで送料無料。小躍りして、この奇妙な10インチとあわせ、リリ…

(ECM2464) Nik Bärtsch's Mobile: Continuum (2015) ライヒへの強いrespect

音響装置に灯を入れて、1時間ほどで音が拓きはじめる。音響空間のなかで、楽器や奏者の定位が定まる。そこで明瞭に知ったのは、ライヒ の「18人の音楽家のための音楽」からのエコーのようなもの。打楽器が打ち続けるタイミング、バス・クラリネットが演じる…

最近またECMを聴いているが

ECM

最近またECMを聴いているが、少し思ったことをメモ。 やはり1970年代のアルバムを「今」聴いたときに感じる面白みや驚き、のようなものが目減りしている、という事実。安定した音を造っていて、それが水準を超えているのだけど、面白みや驚きが足りない。や…

ECMの近作のレコード

今日、入着のレコード。ECMの近作ばかり。 2種類あるようだ。audiophile vinyl pressingという軽い盤と、180g vinyl pressing。まずはヤコブ・ブロを聴いてみたが、もう、そのリアルさに打ちのめされた。特にトーマス・モーガンのベースが凄い。残響過多、…

どう思いますか、ECMの録音(昨日届いたCD)

一昨日はドルフィーのLPと一緒に、給料日に注文したECMのCDが3枚届いた。昨日にあと1枚。 最近のECMには、若干の疑問を感じながらも、気になるアルバムが多いのも事実。つい手が出る。 疑問とは: (1)かつてはアイヒャーの世界観が現実の先を行っている感…

備忘:ECMのジャケットデザインに関する記事

ECM

ECMのレコードについては、録音技師、録音スタジオに加え、ジャケットのデザイナに関するタグをつけている。 という感じ。でも、デザインに関することは、あまり知らない。 で、ECMのジャケットデザインに関する良い記事があったので、自分のための備忘のた…

ブログ移転に伴うECM1000番代の記事の整備完了

ECM

Hateba blogへの移転で、過去記事の体裁が乱れている。 ECM1000番代の記事については、 ・タグを付け直す、 ・youtubeの音源を付ける、 ・リンクも張り直す、 などの処置を行った。結構面倒。 その甲斐もあって、体裁は良くなったし、タグによる検索もできる…

Magazine B - ECM: ブランドとしてのECM

先般、S君に教えてもらったECM本。Magazine Bという韓国で出版されているブランド紹介本の30号。過去、LEGO, SNOW PEAK, NEW BALANCEなどなどが紹介されている。英語で記載されている。英語なので、韓国で出版されているは最初は気がつかなくて、途中から対…

(ECM2487) Carla Bley: Andando El Tiempo (2015) 2年半の時を経たが

(ECM2487) Carla Bley: Andando El Tiempo (2015)1. Sin Fin 10:232. Potación De Guaya 9:503. Camino Al Volver 8:294. Saints Alive! 8:355. Naked Bridges / Diving Brides 10:05Composer: Carla BleyCarla Bley(p), Steve Swallow (b), Andy Sheppard (…

最近届いたCDとECM雑感

渡米前後で届いたCD。ちゃんとECMの新譜も聴こうとしている。 このなかで圧倒的な破壊力はディレク・ベイリー、ジャマラディーン・タクマとカルヴィン・ウェストンによる「Mirakle」。ファンクではあるが、今聴くと、存外にしっかりジャズのオーネット一族の…

ようやくECM1200番代が

ECM

ようやくECM1200番代が揃った。仕事場の帰り、雪の中を郵便局まで荷物を取りに行った。イタリア(だったか)のsellerから届いた。 基本的にECMのレコードの入手性は良好。価格も安い。ただ国内での蒐集には時間がかかるので、海外のsellerから購入している。…

ECMのLPレコード蒐集の果て

ECM

乗りかかった船から降りるわけにはいかない感覚で(惰性を長く言い回している)、ECMのLPレコードを集めている。残響が鼻につくのは、近年で、やはり初期のアルバムの録音は当時の水準を抜けていたように思う。聴きながら、うっとりすることが多い。上質の媚…

ECMの最初の頂点じゃなかなあ(1975年のあたり)

ECM

ECM1060番から何枚か並べてみた。1974年から1975年の録音。素晴らしいアルバムが並んでいる。世はcrossoverの時代。マイルスが内向するファンクをうねらせて、ハービーがポール・ジャクソンと洪水を出したり、チックがディメオラと演っていた頃。WRはジャコ…

Mal Waldron: Spanish Bitch (1970) 日本でしか発売されなかったECMのアルバム

ある時期、日本でしか発売されなかったECMのアルバムがある、と知った。コンピレーションのような企画盤ではない。マル・ウォルドロンの好盤。 ECMの第一作が1969年。アイヒャーのプロデュースではない、マルのFree at Last。 その数ヶ月後で同じスタディオ…

今年のECMレコード盤蒐集

ECM

今年最後のECM・LPレコードの注文を行った。現状はこんな感じである。 オリジナルかはともかく、全て西独盤での蒐集状況。 ECM1000番台 完了 ECM1100番台 完了 ECM1200番台 あと2アルバム、2枚 ECM1300番台 あと18アルバム、19枚 ECM1400番台 LPがでていな…

この1ヶ月ちょいとで入着したECMレコード

ECM

だいぶんとゆっくりになりながらも、ECMのLPレコードを集めている。ゆっくりになったのは、国内での新たな入手が難しくなっている、あるいは法外な価格が増えている、そんな理由。オークションはダメすぎる値付けが多いように思う。ボクのなかでの適正価格は…

ECMのCD化はいつから? (ECM1302, ECM1278)

ECM

ボクはレコード信者、ではない。満足できる音がレコードにあるときはレコード、CDにあるときはCD、って思っている。多くの場合、最初の発売がLPレコードである場合、LPレコードの方が音が良い。発売されるディスクの音が、奏者や録音技師、そしてプロデュー…

ECMのレコード蒐集のこと

ECM

ECMをレコードで集めようと思い出してから2年。1000番台から1200番台あたりまでの保有率がある水準を超えてから「全部」の欲が出てきた。現時点は一部の盤を除き高価なものはない。そんな時期かもしれない。ボクがジャズを聴きはじめた頃、完全に確立された…

ECMレコードのこと、ほか

この2年余り、ECMのレコード、特に1970年代から1980年代前半までのものを少しずつ集めている。録音の良さは勿論、ジャズとその周縁の広範な音をファイルしているという点で魅力がある。 少し困っているのは、保有レコードを覚えきれないこと。そんなに多く…