K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

Jazz (guitar)

George Shearing, Jim Hall: First Edition (1981) $3.6のConcord Jazz

ボクが聴きはじめた頃、丁度、カール・ジェファーソンのコンコード・レーベルが立ち上がった後。ジェイ・マッケンアとかスコット・ハミルトン、およそ興味を惹くレーベルではなかった。しかしよく見ると、ギター奏者中心に、趣味が良さそうなアルバムがあっ…

John McLaughlin: Where Fortune Smiles (1969) 音の熱さが奏者間の摩擦のように感じられ

この頃の英国のジャズは面白い。ジョン・サーマンやimprovised musicへ出発するディレク・ベイリー、デイヴ・ホランド、ケニー・ホイラー、ジョン・テイラーなどなど。 このアルバムはドイツのベルガー以外は、UKオールスターズのアルバム。20年くらい前にCD…

Jeff Parker: The Relatives (2005) ふっと感じさせる陰翳の深さ

旅先では、仕事をしながら、PCあるいはPADでspotifyを聴いている。アルバムを聴き終わると、適当な選曲をしてくれて、これが良かったりする。もうCD買うのは止めようか、と思いながらも止められないのだけど。 昨夜、夜半前にジェフ・パーカーの旧譜を聴いて…

Guitar Solos 3 (1979) 飯島晃のソロ音源4分40秒

仕事の多寡によるのか、気温の高低によるのか、あるいは湿度なのか、環境が変わると(なのかもわからないが)、聴いて愉しい音が変わってくる。先週末は時間に余裕があったので、米国で買い求めたLPレコード中心に聴いてみたが、どうも愉しくない。詰まらな…

渡辺香津美: Infinite (1971) 1970年代はじめの日本のジャズの熱気の塊

渡辺香津美をはじめて聴いたのは日野元彦の流氷。その後、KYLYN LIVEかな。あまりクロスーヴァーは聴かなかったから、spice of lifeで気持ちのハマルまで、あまり聴かなかったが。 これは昨日届いたアルバムのうちの1枚。 最近まで存在を知らなかったアルバ…

Jeff Parker: Slight Freedom (2013-14) streetからの路地風のようなものが(レコードを入手した)

いつものことだけど、レコードでの入手を悩む。近年のディジタル音源の質向上を考えると、無駄にしか思えない。しかし何かがやはり違う、ようにも思える。 悩むくらいなら入手、なので、このレコードも入手。まあ変わらないなあ、と苦笑い、だったのだけど、…

Jeff Parker: The New Breed(2016) 心象に翳を残すような

先日に続き、ジェフ・パーカーを聴いている。 マイルス・デイヴィスや菊池雅章のアヴァンギャルド・ファンクが、心象の奥底に音が落ち込み、そこから身体へ向かうような軌跡を描くなら、この音はまず身体に向かうような振りをしながら、心象の奥底に音が向か…

Jack Wilkins: Windows (1973) 清新な風のような雰囲気を運んでくる

toshiya氏のブログで今朝、その存在を知って、小躍り。 ジャック・ウィルキンスって、小粒だけど清新な感じのギターが1970年代に光った奏者。その後も少し聴いたが、印象はとても薄い。 このアルバムでは、コリアのウィンドウズから。もう音が見えてくる感じ…

John McLaughlin: Extrapolation (1970) 鋭いキレ、が楽しい

月光茶房、CAFE INCUS訪問で、欧州、それもECM外の芳醇な世界を覗いてしまった。以来、ちょっとあかん。レコードが増えている。 この盤はマクラフリンが英国で吹き込んだもので、マイルス・バンドへ参加した頃じゃなかろうか。ボクはマイルスの電化アルバム…

Mtume: Kiss This World Goodbye (1978) レジー・ルーカスとエムトゥーメへの興味

少し、マイルス・デイヴィスのファンク時代、1973年から1975年のリズム・セクションが気になって、聴いている。ギターがレジー・ルーカス、ピート・コージー、ベースがマイケル・ヘンダーソン、ドラムはアル・フォスター、パーカッションはエムトゥーメだ。…

Attila Zoller, Masahiko Sato: A Path Through Haze (1971) 1970年前後のジャズの清新な音空間

実に素晴らしいレコード。1970年前後のジャズの清新な音空間、コリアのトリオやゲッツとのアルバム、から地続きの空気のなかにある。パラジウムでの才気煥発、のような印象がさらに深みと躍動感を帯びたような佐藤允彦トリオに驚く。ドラムが富樫雅彦から小…

Derek Bailey: To Play/The Blemish Sessions

「話題の本」のなかで出てきたアルバム。デヴィッド・シルヴィアンの"Blemish"でのベイリーのテイクを別途アルバムにしたもの。

Mary Halvorson: Paimon The Book Of Angels Volume 32 (2017) ゾーンの曲に惹かれたのか、ハルヴォーソンに惹かれたのか

メアリー・ハルヴォーソンには関心がありつつも、すっと入ってくることが少なく、関心の割には聴いていない。しかしこのアルバムは違った。多分、ゾーンの曲が聴き手(ボク)のなかの壁を突破する力、を与えているのだと思う。 このアルバムについては、以下…

Theo Bleckmann, Ben Monder: At Night (2007) 不思議なノスタルジーに満ちた

最近になって知ったテオ・ブレックマン。ちょとずつ聴いている。これは10年くらい前のアルバムで、ベン・モンダーとのもの。もう1人、武石聡が加わっている。 ECMのアルバムではないのだけど、ECM的な音響空間。ベン・モンダーは昔のクロンビーのような感じ…

ショローCLUB: from 1959 (2016) 初老、なのか?

1959年生まれの3人、によるセッション。同世代なんだなあ。 前から気になっていたアルバム。昨日、友人達と寿司屋で呑んでいたのだけど、還暦前のボクが「初老」を使ったら遮られ、「老人」と云われてしまった。コトバの本来的な定義からすると正しいのだけ…

富樫雅彦, 高柳昌行: Pulsation (1983) レコードを入手した

昨日届いたCD。これの他、数枚、レコード入手の長期戦を決め、CDを入手した。最近の再発CDは音が良く、高価なレコードに固執することもなかろう、という判断。キング・レコードのPaddle Wheel盤のディスク・ユニオン(DIW)からの再発、TBMの再発はそのような…

James Blood Ulmer, The Thing: Baby Talk (2015)  1980年頃の若者にとってのウルマー

Bandcampからの新譜のメイルが届いた後の反応: (8月にメイルが来たのだけど予約のみ。発売時点では忘れているので、やはり発売時メイルが正しいと思う!) ほぼ同じタイミングでのツイート。「The Thingとウルマーの共演」と思った自分と、「ウルマーの新…

Jim Hall, Red Mitchell: Valse Hot - Sweet Basil - 1978 (1978) 落ち葉拾いと思うことなかれ

いつだったか、新宿のDUで買い求めたもの。何となく、ライヴの残テイクって、落ち葉拾いのようで、曲数が増えても感動は増えないよな、って思うこともあり、最近は手を出していない。もうマイルスのコロンビア残テイクシリーズも懲りて手を出していない。正…

内田修ジャズコレクション 人物VOL.1 高柳昌行(1981-91) ジャズ奏者「高柳昌行」の全貌を集めた素晴らしいCD

今回の岡崎訪問で入手したなかで、やはり白眉は高柳昌行のアンソロジー。さすがにオープンリールでの録音、多分、オンボード(だよね)だけあって、音が良い。正式な録音が少ない彼のアルバムへの、ある種の飢餓感を十分埋めるのだ。 TBMで高柳昌行を何枚か…

高柳昌行, 阿部薫: 解体的交感 (1970) ディスクユニオンの復刻レコード盤

まず結論から。かなり復刻盤としては高価であり、購入に躊躇したが、塙監修、を信じて良かったと思う。CDと聴き比べたが、ギターの音の解像度が上がっていて、音の粒度、のようなものが、かなり細かく聴こえる。そして、確かに過剰な音群なのだけど、そこに…

藤掛正隆, 早川岳晴, 山本精一: 弱虫/from Gakeppuchi Session(2008) お盆の朝からこんなの聴くなんて

お盆の朝からこんなの聴くなんて、どうかしているように思えるが、予想通り良い。藤掛正隆の直球のビートをとても気に入って、続けて聴いている。ベースが早川岳晴なんで、期待しないほうが無理。 1980年頃のオーネット一派、ウルマー、タクマ、シャノン・ジ…

加藤崇之, 藤掛正隆: ten-shi(2014) たのしい

こういった音楽の面白さ、をコトバにすることができないのだけど、いや、コトバにした瞬間に混沌とした音の塊の面白さが変質してしまうような、そんな気もする。 ボクのなかで強く惹かれているのは藤掛正隆。ドラムで強いビートを付与しているのだけど、案外…

Diego Barber: One Minute Later (2017) ハーランドはいいなあ、と改めて思わせる一枚

クレイグ・ティボーン聴きの一環で聴いた前作はよかった。ティボーンとギターが重なり合うミニマル的な旋律が美しく、一時は繰り返し聴いていた。そんなことで、新作にも手を出した。Bandcampの場合、単価はCDより安いので、購入の敷居は低い。$9だからね。…

(ECM2518) Dominic Miller: Silent Light (2016) こんなECMも好きだなあ

ECMに直接注文して入手したレコード。数ヶ月分の何枚かをまとめて頼むと、送料を考えても国内の店で買うより安価。 かなり機械的に注文した訳で、中身は入手してから確認。ギターのドミニク・ミラーのアルバムだけど、知らない。スティングと共演していたそ…

両国RRR:今井和雄/the seasons ill発売記念 アルバム未使用音源を大音量で聴くイベント

今井和雄の最新作the seasons illが出た後、幾つものサイトで激賞されている。 早速入手して聴いてみたが、凄いと思いながらも、なんかピンとこない部分がある。実は先日書いたとおり、improvised music寄りのギターに快感を感じるような脳内回廊ができてい…

Elliott Sharp, Mary Halvorson, Marc Ribot: Err Guitar (2016) 脳内回廊の皮膜

ボクはギターに好ましくない先入観のような偏見が(かつて)あった。そんな話を大学の同級生、といっても試験のときにしか見なかった軽音所属のM君、にすると、最初に聴かせてくれたのはジム・ホールのベルリン。それで偏見はするっと無くなったが、あまり聴…

和田直: Blues World (1974) 植松孝夫のテナー

TBMは気になるレーベルだったので、レコード屋の店頭で値頃なものを見つけたら、適当に買うような集め方。沢山はないけど、少なくはない、手元にあるのは。そんな買い方の弊はレコード一枚一枚への思いが薄いので、ある枚数限度を超えると、二枚目を買っう羽…

和田直: Coco's Blues (1972) 「ありそうでない」部分が実に美味しい

下記記事を読んでから欲しかったレコード。そんなに珍しい盤でもないのだけど、値頃なものを待っていた。 上記記事のルネ氏の云う日本のジャズへの感情、それと正反対、ということではなくて、日本人だから感じでしまう距離感、に対する嗜好の違いだと思う。…

(ECM1877) David Torn: Prezens (2005)  大音量で目眩を感じながら

クレイグ・ティボーン聴きの一環で入手したアルバム。一連のアルバムのなかで、幾つか気に入ったアルバムのプロデュースを、ティム・バーンが行っていることに気がついた。ティム・バーンの素晴らしく格好がいいアルバム、がそれらだ。アヴァンギャルドな素…

Miles Okazaki: Trickster (2017) 淡い旋律的なものを断片化して

クレイグ・ティバーンの電気ピアノを聴いていると、ギターのようだな、と思うことがある。アコウスティック・ピアノでの打鍵の細かな制御、特に弱音での、による音の空間構築がとても好きな感じなのだけど、電気が入ると強いアクセントがついたグルーヴ感溢…