K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Toots Thielemans: Only Trust Your Heart (1988) Fred Herschとの共演アルバム

気がつくと、聴いているような、身近な巨人だったシールマンス。ボクの世代だと、ジャコ・パストリアスのWord of mouthあたりが一番鮮烈な印象を残しているような気がする。時代とかスタイル、が関係なく、音を音として受け止めていたと思う。 SNSを見ている…

Magazine B - ECM: ブランドとしてのECM

先般、S君に教えてもらったECM本。Magazine Bという韓国で出版されているブランド紹介本の30号。過去、LEGO, SNOW PEAK, NEW BALANCEなどなどが紹介されている。英語で記載されている。英語なので、韓国で出版されているは最初は気がつかなくて、途中から対…

菊地雅章: All night,all right,off white boogie band (1989) 断片化したファンクのカケラの集積

何回も書いたが、菊地雅章のリアルタイム体験はSustoの米Columbiaからの発売で、あの「甘酸っぱい匂い」がする輸入盤、菊地雅章のSustoが店頭に山積みされた。それが最初で最後の、「景気の良い場面」ではなかろうか。 再確認と発展(1970)からの「電化ミニマ…

Derek Bailey: Standards(2007) 無調のなかの美

ボクのベイリーへの入り口は、2002年のBallads。 稲毛のCandyで国仲勝男、林栄一、小山彰太を聴いた後に、かかったのがコレ。美しい音に驚いた。 このアルバムは、このBalladsの流れ、かと思い購入。タイトル、ジャケットがそんな感じ。しかし、ほとんど無調…

工藤隆: 古事記誕生 (中公新書, 2012) 今につながる古代王権の在り様

この夏読んだ本。 この本全体としては、古事記の「点としての誕生(712年に成立したこと)」、「線としての誕生(縄文・弥生の無文字時代の遺風)」に分けて論じている。「点としての誕生」については、偽書説(成立年代の見直し含め)に対する反証について…

夏のお仕舞いの妙高

仕事で妙高へ。毎年のこと。 明日は妙高山に登る予定であったが、台風の影響で悪天が想定される。仕方がないので、池ノ平から苗名の滝の間を歩いた。呼吸をみながら、強過ぎず、軽過ぎない負荷を体に与える感じ。軽く汗をかく。 気持ちのよい森の中、田圃の…

チョビ渋(2013) 札幌の子供バンドというには

渋さ知らズの不破大輔氏指導の子供バンドの録音。小学生から高校生、がメンバー。そんなことが頭をよぎるのは、コーラスの声ぐらい。曲作り、ソロ、その全てに渡って「渋さ知らズ」的な「変な感じ」が満載で、聴き手を引きずり込む力を持っている。ダンドリ…

12,617.4km 古澤良治郎の世界ライヴ(1980) これはジャズでじゃなくて

ボクがダメなコトバに和ジャスがある。次に中央線ジャズ。ただし、和ジャズは偏狭な和意識を感じるので、本当にダメ。日本のジャズでいいじゃない、と思う。中央線ジャズは、なんとなく分かっちゃうから、にゃっとしながらダメって感じ。 日本のジャズに汎世…

CTI時代のRudy Van Gelder (Hubert LawsのThe Rite Of Springを聴いて)

結局はヴァン・ゲルダーの活動がどのように終焉したのか、気になっている。wikiとかネット情報をみても、CTIの破産(1977年)のあと、クリード・テイラーもヴァン・ゲルダーも目立った活動はなくなっている。おおよそ40年弱前のこと。ヴァン・ゲルダー50代、…

Stanley Turrentine: Sugar (1970) CTIのRudy Van Gelder 2 (もっとCTIらしいもの)

もっとCTIらしいもの、と思ってこれにした。 針を下ろした瞬間から強い音圧。確かに違う。タレンタインの図太い、やや臭めのテナーの炸裂感がばっちり。聴いた瞬間に、これはBlue Noteとは異なる1970年代のヴァン・ゲルダーの音なんだと理解。 基本的には音…

Joe Farrell: Song Of The Wind (1970) CTIのRudy Van Gelder

このアルバムは小編成。メンバーを見て分かるように、1970年頃のマイルス・バンドから管を抜いて、リーダをジョー・ファレルにしたセッション。音は想像の通りで、デジョネットの鋭いビートの上で、各人、奔放なソロを繰り広げる。ジャック・ジョンソン的空…

Bill Evans: Trio '65 (1965) VerveのRudy Van Gelder2

ラファロ後のエヴァンスはあまり沢山は聴いていない。それでもチャック・イスラエルとの演奏は決して嫌いでは無くて、エヴァンスのピアニズムを聴く、という観点では歴代ベーシストなかで一番じゃないかと思う。サポート役に徹していて、エヴァンスがゆった…

佐藤允彦&Medical Sugar Bank (1979) 佐藤允彦のFusion

リアルタイムにジャズを聴きだしていころ。本田竹廣のNative Sonをはじめ、多くのジャズ奏者がフュージョンを演っていた頃。どちらかと云うと、フリー的な演奏が多かった佐藤允彦が作ったバンドがMedical Sugar Bank (MSB)。 最近CDでも再発されたが、レコー…

Steve Lehman: Mise en Abîme (2014) 多様な音をコラージュしてつくる奇妙な味

Steve Lehmanのアルバムを3つ、Bandcampからダウンロードしている。時間を遡上していて、これは一つ前のアルバム。何となく大編成は苦手感があって迷ったのだけど、試聴すると良かったのでダウンロードした。 このアルバムも最新作と同じく、奇妙な味がする…

高柳昌行とニュー・ディレクションズ: Independence (1969) 音と沈黙が造る音響的な美

このアルバムは、高柳昌行, 吉沢元治, 豊住芳三郎のトリオ(佐藤敏夫の時間指揮って何だろう?)。魅力的な奏者達が空間を丁寧に構築してくような音が連なる。一音一音考えられ、打ち込まれたような音の連鎖。だから、音と音の間には思惟のような沈黙を感じ…

(BST84127) Kenny Dorham: Una Mas (1963) 躍動するドラムを捉えた

もう少しRudy Van Gelderの音を聴いていきたい。 Blue Noteの4000番台で、録音がいいなあ(というより好きだなあ)、と思うのはケニー・ドーハムのUna Mas。ボクが持っているのはステレオ盤。だからBST84127。網羅的には聴いていないから、タマタマ持ってい…

(BST84205) Pete La Roca: Basra (1965) 夜半前のSweet Basilで

ボクが持っているレコードはリバティ盤。これはオリジナルではなくて、ブルーノートがライオンからレコード会社に売り出された後のもの。概して、ブルーノートのオリジナル盤は高価なので、リバティ盤でRudy Van Gelderの刻印がついているもの、で集めている…

Louis Stewart: I Thought About You (1979) 一目惚れでなくて一耳惚れだよね

新宿のディスクユニオン(ジャズ・レコードのところ)で、盤を次々見ていた時、背後の音に釘付けにされてしまった。あの曲、が何の曲だったか思い出すまで数分かかったけど、ゲッツのSweet Rainのあの曲、チックの佳曲Lithaがギターで流れていた。Lithaって…

(BLP1595) Cannonball Adderley: Somethin' Else (1958) Blue NoteのRudy Van Gelder

何となく前の記事でRudy Van Gelderについて、Negativeな印象が残るような書き方をしたので、もう一つ書く。 このレコードはあまりにも「名盤」で有名な1枚。ボクも何枚持っているだろうか。学生の時に買ったキング盤、亡父の東芝盤など。演奏はあまりも有…

Elvin Jone, McCoy Tyner : Love & Peace (1982) Rudy Van Gelderのこと、そして冷めたスープのような

早朝、ルディ・ヴァン・ゲルダーの逝去、が伝えられた。91歳。シールマンスと同じ世代で、大往生である。数年前にBlue Note, Prestige, Verveなどの古いプレスを集めたのも、彼が録音し、カッティングしたレコードに「素晴らしい音場のものが含まれる」とい…

Steve Lehman: Sélébéyone (2016) 奇妙な味、が美味しかった

twitterを眺めて気を紛らわせていたら、Steve Lemanは現代のドルフィー(だったかな、いい加減ですが)を読んで、気になってBandcampからダウンロード。いつも参考にしているブログでもアップされていた。 はじめてのSteve Leman。

Nico Gori, Fred Hersch: Da Vinci (2012) ハーシュのピアノが与える印象

ハーシュの新譜が出た。それを聴いているうちに、とても好きな旧譜について書けていないことに気がついた。それが数年前のこのアルバム。あれから随分とたったものだ。 ハーシュのピアノが与える印象をくくると、包み込むような人肌くらいの温度のピアノの美…

Cedar Walton: Third Set (1983) Bob Bergも魅力だが

先日、「一生モノのジャズ名盤500」を購入。ディスクガイドとして、いいなあ、と思わせる、読ませるものだった(これは別途)。そのなかにはボブ・バーグのスタンダード曲集もあって、ふむふむと思った次第(いいアルバム)。 一生モノのジャズ名盤500(小学…

Toots Thielemans: Live In The Netherlands (1980) 重量級メンバーのなかの軽量級

ジャズを聴いていると、日々、あの世へ旅立つ人がいる。だから、いちいち追悼しない、ということにしている。それよりも、彼らのことを忘れないように、レコードをかけている。何回かけたって、音は虚空に吸い込まれていって、帰ってこないのだけど。 シール…

横浜関内JAZZ館での猟盤ほか

仕事が終わってから、フライトまでの隙間時間にレコード屋に行ってきた。相変わらずの関内のディスクユニオン。月末に特設会場でセールスがあるようで、そのような場合、面白い盤はkeepされるので、ん!、とは思ったが、猟盤へ。 結果的にまずまず。 ・昨日…

颱風の間を縫って

昨日は颱風の間を縫って、日帰りでの大船への出張。空ばかり眺めていた。 光と雲が交叉するような一日だった。 光り溢れる小松空港 滑走路の向こうに沸き立つ雲 日本海から 夕刻・横浜

大船の街を少し歩いた

観音食堂での昼食の後、まだ時間に余裕があったので、少し歩いた。 街の様子を懐かしもう、と思ったのだけど、写真を見ると懐かしい飲食店ばかり(苦笑)。 仲通りの熱気は昔のまま。店は変化しているが、老舗はそのまま。 仲通りの脇に入る。相変わらずの秋…

大船・観音食堂:変わらぬ場所

今日は仕事で大船へ。33年前、はじめて来たときは駅前の再開発前で、本当に雑然とした庶民の街。そんなことを知らなかった関西人のボクは、鎌倉市であって、鎌倉ではない大船の在り方、に随分と驚いたものだ。 住んでみると、仲通りという商店街の熱気や、気…

Art Farmer: Sing Me Softly of the Blues(1965) Carlaの曲が気になって

ファーマーが奏でるフリューゲル・ホーンの透明感。キューンのピアノとの整合性がとてもよく、1960年代のジャズとしては音の温度が低め。少し空気がピンっと張ったような冬の朝に聴くと丁度良さそうなアルバム。

渡辺香津美: KYLYN Live (1979) 坂本龍一のこと

発売は1979年だっただろうか。ジャズを聴きはじめた頃に、「流行りのクロスオーヴァー」を聴こうと、手にした。案外、面白かった、と思った記憶がある。清水靖晃の豪快なブロウ、矢野顕子のエキセントリックなヴォーカル、が印象的だった。 先週、職場の若い…