K’s Jazz Days

K’s Jazz Days

ジャズを中心とした音楽と本の備忘録

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Muhal Richard Abrams: Afrisong (1975) ただただ美しい

Sightsongもそうなのだけど、このアルバムでの彼のピアノはただただ美しい。所謂「前衛ジャズ」的な難解さはカケラもない。西洋音楽の調性が持つ美しさを、彼の身体表現として、ごく自然に翻訳しているような、感じ。 このアルバムも、アフリカ的なものを強…

Jim Hall & Basses (2001) 現代の音

最近、デレク・ベイリーとか高柳昌行を面白がって聴いている。何が面白いのか、よく分からなかったが、最近になって、単純な話で、弦が紡ぎ出す音響の面白さ、ではないか、と感じている。指、あるいはピック、あるいは弓(!、高柳の作品)などで、打撃が与…

菊地雅章: 再確認と発展(1970) 何ものかのようで何ものでもない

何ものかのようで何ものでもない音楽、だと思う。いつだったか、youtubeの音源へのコメントを見ていると、菊地は電化マイルスのコピーだよ、と海外の聴者からの書き込みがあった。確かに、そのように感じる部分もある、しかし、具体的に何処がマイルスのコピ…

金沢での暮らし(食べること、呑むこと)鱗町「料理 小松」へ

この一ヶ月あまり、美味しいものを頂く機会が多かったので、備忘のために簡単に記録したいと思う。 昨日は接客。前の職場の同僚に仕事をお願いしたので、その御礼の会。場所は鱗町の「料理 小松」。例のミシェラン本に出てしまったので、本の発売日に慌てて…

金沢・鱗町Estacio:街のレコード屋に行かなくなって久しいが

いつだったか、陶工Yから「鱗町にレコード屋が開店したから行ってみて」、と云われたことを思い出した。なぜ彼女がレコード屋と関係あるのか分からないのだけど、そんなことを思い出した。と云うのは、鱗町の料理屋さんに接客で行くことになったから。 金沢…

Weather Report: Live In Germany 1971 奔放な音の応酬

ボクが聴きはじめたのはジャコの時代であり、それがまさに1970年代後半の「時代のジャズ」だった。それがとても気に入っていて、その感覚でヴィトウス時代を聴くとピンとこなかったのは事実。 今になって改めてこの時期の音源を聴くと、実に素晴らしい。マイ…

Derek And The Ruins: Saisoro (1994) タイトなリズムのうえのベイリー

最近届いたCD。ベイリーに痺れてしまったら、その音のダイナミックレンジは際限なく広い。寡黙な音空間もあれば、破壊音で埋められているときもある。 それらのなかでも、異種競技の格闘のようなセッションは面白い。タイトなリズムのうえのベイリーが、あの…

蓮見令麻: Utazata (2013) 浮遊の形そしてimprovisation

NY在住のピアニスト。ディスクユニオンのJazz TokyoのサイトでNYのジャズ事情をレポートを掲載中。でも、あのサイトの字が小さく、読み辛いので読んでいない。だから、どのような視点の、どのような演奏をするのか、全く予備知識なし。白紙、で聴いた。彼女…

夏野菜の金沢

夏の金沢は野菜の美味しさ、がいい。近くのスーパーマーケットで売り出される中本農園のとうもろこし、辰巳農園の枝豆、が毎年の愉しみ。今年は、とうもろこししか見かけず、残念なのだけど。 近所のS君の実家は辰巳農園のメンバー。twitterで辰巳農園の枝豆…

Pierre-Laurent Aimard: African Rythm(2003) ミニマル・美音・音の快楽

アフリカの民族音楽とエマールによるリゲッティとライヒの曲を交互に組み合わせたアルバム。 アフリカの音はミニマルそのもの。冷ややかな音感で収録されていて、それがアルバム全体として素晴らしい統一感を生み出している。エマールはピアノを美しく響かせ…

梅雨明けの犀川源流へ

今年は忙しくて、あまり犀川源流に入れていない。それでも、時として憑かれたように行きたくなる。ブナの森に流れる流れ、にいたい。あまり沢山釣れたことはないのだけど。 昨日は、5:20 犀川ダム出発。倉谷廃村から4kmほど奥に。魚止めの手前で時間切れ。竿…

Tavinho Moura: beira da linha - instrumental de viola (2016) 大洋レコードからの便り

このアルバムは、全くケレン味のないギターのソロ。カイピーラ・ギター、というブラジルの楽器らしい。詳しくは大洋レコードのサイトで。とても詳しく紹介されている。

Egberto Gismonti (1969) 音の振幅

音の振幅が大きい、というか、ボッサ風からジャズ風、MPB風と広がっているが、ジスモンチの音そのもの。冒頭の曲が、40以上前からジスモンチはジスモンチであって、そんなに変わっていないことを知る。 今春のナナ・ジスモンチのコンサートは、ナナの逝去で…

Fabio Caramura: eco musica - conversas de um piano com a fauna brasileira (2015) 先週1週間

先週1週間、これをクルマのなかで聴き続けた。異国の鳥のさえずり、と絡み合うピアノの音に惹かれた。季節、に合ったのだと思う。 [2016-3-23記事] 今日の昼下がり 今日の昼下がりの音楽。昨日に続いて南米音楽でほっこり。 ファビオ・カラムラというクラシ…

金沢での暮らし(食べること、呑むこと)路地裏の小さな寿司屋

そんな店の一つが路地裏の小さな寿司屋。6席しかない。東京から白山に登りにきたSさんを迎え、金沢での友人が集まった。店を借り切って(といっても6席)、随分と賑やかに呑んだ。この店の良いところは、美味しい刺身と寿司を腹一杯頂けること。酒も豊富。…

Diego Schissi: Tongos (2010) 過剰で奇妙な味

これはアルゼンチンのタンゴあるいはジャズ奏者のシネシのアルバム。アギューレのような。自然を感じさせる、たおやかな音と対極のように感じる。タンゴの過剰さ、を持ちながら、奇妙な味、ジスモンチやパアスコアールが隠し味のように仕込まれている。

Sergio Krakowski: Passaros - The Foundation Of The Island (2015) 粘り気のある芯を打ち込む

録音が良いことが気に入った。柔らかな音で気持ちよい。打楽器やギターも攻撃的でなく、柔らかに響く。残響は適量で、ECMほどは強くなく好み。それでいて奏者の息吹まで伝わりそうな音圧はあって、レコードを聴いているような感覚。高音がやや抑制気味に感じ…

Andy Stott: Too Many Voices (2016) ECMからガラスの向こうへ

ECMというガラス細工の部屋があって、そのガラスの向こう側で鳴っている、ような音だな、と思った。ジャズの外の音はいつも気になっている、のだけど、良いpilotのような情報がないと、うまく出会えない。 幾つかのサイトを眺めていたら、こんな記事が。「ジ…

法島のあたり

遅くまで会議があった。建屋を出ると、大きな月が煌々としていた。夜半前だったので、随分高い。犀川まで急いで、上菊橋のあたりで月を眺めていた。 久しく、そんな時間を持っていなかった、ことに気がついた。

梅雨が明けたような朝

梅雨が明けたような朝、だった。南の青い空に雲が沸いていた。 最近は天候が安定しているので、自転車で通勤している。カメラを持って、走った。 白い雲に眼が行くほど、空は暗くなるほど澄んでいる。風は柔らかいが、まだまだ湿気を孕んでいて、梅雨の合間…

Antonio Loureiro: Antonio Loureiro (2006) 淡い夏の夜風に吹かれて

今夜はロウレイロを聴いている。これはデビュー盤か。2006年の吹き込み。だけど後年のアルバムと全く空気は変わらない。この軸の安定さ、は音楽的に完成された奏者、固有のものだ。 今夜のような爽やかな月夜、に相応しい。ほのかに暖かく、熱くはない、アル…

(ECM1074) Jack DeJohnette: Untitled (1976) 当時のデジョネットの凄さと同時に

このジャック・デジョネットのECMでの、彼のグループとしての初アルバムは、そんなデジョネットの特性が詰まった玉手箱のようなアルバム。インド音楽風からフリー風まで様々なスタイル、リズムを取り上げている。それらが無理なく、デジョネットの多面性とし…

山中千尋: Living without Friday (2001) 21世紀のはじめだけど

このアルバムも「当時」気になっていた新世界の澤野、草履屋の副業?、から出た日本人のアルバムということで、爽やかなジャケットとともにとても印象に残った1枚。ボクのなかでは、カモメのアルバムは、例のアルバムとコレ。山中千尋のデビューアルバム。

翠川敬基: 緑色革命/Grüne Revolution (1976) 弦のキシミ

高柳のギターと翠川のチェロ、二台の弦楽器で音を出しているのだけど、二人で音を足して前に出て行くような感覚でなく、引きながら下がっていくような不思議な感覚。ブラックホールの吸い込まれていくようなエネルギーを見るような、である。だから、抜き取…

Miles Davis: Someday my prince will come(1961)古いLPレコードの音を再び

Miles Davis: Someday my prince will come(いつか王子様が)が4枚。左上:ステレオ盤(6eyeと称されるオリジナル,60年代初期) 右上:モノラル盤(6eyeと称されるオリジナル,60年代初期)。 左下:1979年頃に買った再発盤 右下:オヤジの遺品で80年代後半の…

(ECM2364) Miroslav Vitous: Music Of Weather Report (2010,11) そして今度のWRは

ヴィトウスのWRシリーズ第二弾(か?)。CDがリリースされてから、安価な海外業者からの出荷を待ったので、入手はいつものように遅い。前回、WRカヴァー集を想定し、あまりの見込み違いに驚いたが、今度はどうだろうか。 前作はWRの当初のアイデア(奏者間の…

Weather Report Live In Tokyo (1972) ヴィトウスの云うdirect conversationとparity

Weather reportの発売のあと、ドラム・パーカッションのメンバーを変えて日本公演。1972年の1月に日本ツアー。その東京公演が残されている。ボクがこれを入手したのは1982年。CBSソニーから2800円の廉価盤が出たからだ。マイルスのアガルタ、パンゲア、ダー…

Weather Report: Weather Report (1971) Vitousの新譜と関連して

Joe Zawinul(p, key), Wayne Shorter(sax), Miroslav Vitous (b), Alphonze Mouzon(ds), Airto Moreira(perc)

高柳昌行 New direction for the arts: Free form suite (1972) 弦が切り裂く空間

まず最初に云わなければいけないことは、録音の良さ。高柳のギターの音がリアルに切れ味良く収録されている。TBMの魅力のひとつに録音の良さがある。このアルバムはスタジオライヴで、観客と奏者の間の空気、そして高柳のギターが放つ、弦が切り裂く空間、の…

雨の後の渓流でちょっと

先週は山に入っていたので、沢が気になって仕方がなかった。しかし梅雨もお仕舞い方になって、金沢にも雨が随分と降った。なかなか釣りに行けない日々が続いた。 今朝、出勤前に出かけたが、沢には水が溢れていて濁流。入れなかった。 仕方がないので、濁流…