Jazz (bass)
何回か聴くと、音の柔らかな膨らみ、それはほとんどベースから、を強く感じ、ECMの録音では感じられない暖かみ、が気持ち良い。素晴らしい。ただ過ぎ去った時間、のようなものに対する愛惜のようなものを感じる。それはラファロのGloria's Stepを取り上げる…
30年以上前、ラザウェル一派のレコードを随分買ったような気がする。Material, Golden Palominos、そして、このLast exit。結局のところ、案外、ラズウェル自体の音って一本調子で変化に乏しいのだけど、企画の良さ・鋭さで生き延びている人のように思える。…
JAZZ TOKYOの及川氏の記事を読んで、入手。 長年、藤井郷子の名前はディスク・ユニオンのフリー・ジャズ・コーナーで見かけたが、手を出したのははじめて。ずっと気になっていたのだけど。 ・ポール・ブレイの弟子、だそうで、確かに伝統と前衛の配合比が似…
時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。 むしろ作曲行…
ヘンリー・グライムスが存命で、活動していると知って、驚いた。ボクが知っているのは1960年代まで。アルバート・アイラーとマッコイ・タイナーのアルバムでの演奏が、印象的な半世紀ほど前の奏者なのだ。 長く隠遁していたそうだ。早速聴きたくなったので、…
ドルフィーを聴くつもりで、1964年のミンガス・バンドのCDを入手。でも、ドルフィーは3管のうちの一つに過ぎなくて、その積もりで買うと、違うなあと思った。 むしろドルフィーにソロを「パーツ」として組み立て上げた、上部構造としてのミンガスの音の凄み…
2014年のrecord store dayで出たアルバムらしいが、知らなかった。1974年にフロリダで録音された、驚くべき録音。 1976年にEpicから出たデビュー・アルバム「Jaco Pastorius」の下敷きとなるデモ。既に1974年にジャコがジャコである音楽をやっていた、という…
アンデルセンの前作のときもそうなのだけど、聴いたときの印象を書くことができなくて、このシリーズ(ECMのレコードを聴く)が滞っている。今回も同じ。一月以上、なんか書く気が起こらなかった。 なぜだろう。確かに美しい音楽なのだけど、それ以上のもので…
当時のキングレコードから出た、レッド・ミッチェルと鈴木勲のアルバムを大いに気に入った。それから暫く、彼の新譜を買った。富樫雅彦や菅野邦彦とのアルバムなど。またTBMのアルバムも少し。 それがお仕舞いになったのは、怪作とも云えるこのアルバム。鈴…
Nakama recordsの魅力の一つに、音の良さ、がある。北欧らしい透明感のある音なのだけど、柔らかさ、もあり気持ちよい。最近、ECMで残響過多のものが耳について、船酔いのような気持ち悪さ、をときとして感じるのだけど、それも、このあたりの録音を聴くよう…
先日のNakamaを聴いて、作曲と即興の間を揺れながら、一音一音の意味づけに渾身の力を込めて弾く奏者達、の音に昂奮した。そして、そのような奏者達の背景がfree jazzだったりimprovised musicだったりするのだけど、抑制した音数で空間を組み立てよう、とす…
昔、昔、ドクトル梅津バンドが結構気に入って、その理由の一つがソリッドなベースの音なんだけど、それでSALTのレコード(1986)も買った。30年前の話である。 ガツガツとキツくグルーヴするベースが好みになったのは、ウルマーのバンドのアミン・アリを聴いて…
昨日届いたCD、早速、聴いている。ピーコックの曲作り、の素晴らしさが堪能できる一枚、じゃないかなあ。 Waveと銘打ったアルバムは3枚ある。 Gary Peacock, 佐藤允彦, 富樫雅彦の3人のトリオ。Waveは富樫雅彦主導、Wave IIはGary Peacock主導、Wave IIIは…
ボクはカーラの中編成、大編成のバンドは面白いと思ったことはないのだけど(だからカーラの好きなアルバムはなかった)、この現在のパートナーであるスティーヴ・スワローとのデュオは大好き。過去リリースされている3枚とも持っている。とてもチャーミン…
金沢には「B級グルメ」と称するカレーとか餃子とかあるけど、「B級」は了解できるが、どこが「グルメ」なんだか分からない。B級と称することによる、人間の官能の深い部分を刺激するような「語感」があるが、肝心の食べ物の「食感」が官能の深い部分を刺激し…
折り重なる音の色彩は、北欧から英国にかけての冬の空、のよう。重く広がる雲、希に切れ目から見える暗い蒼。 そんな土地で生まれた音楽なんだろうな、と思う。バーレ・フィリップスは長い間、欧州の奏者だと思っていたのだけど、カルフォルニア生まれ。キャ…
奔放な鼓動と旋律、が盤に封じられている。レコード針が盤面をなぞりはじめてから、針があがるまで、封じられた鼓動と旋律が溢れ出る。 富樫雅彦は、肢体が自由であったとき、そのスピード感溢れるドラミングは凄まじいものであった。下肢が不自由となり、両…
高柳のギターと翠川のチェロ、二台の弦楽器で音を出しているのだけど、二人で音を足して前に出て行くような感覚でなく、引きながら下がっていくような不思議な感覚。ブラックホールの吸い込まれていくようなエネルギーを見るような、である。だから、抜き取…
ヴィトウスのWRシリーズ第二弾(か?)。CDがリリースされてから、安価な海外業者からの出荷を待ったので、入手はいつものように遅い。前回、WRカヴァー集を想定し、あまりの見込み違いに驚いたが、今度はどうだろうか。 前作はWRの当初のアイデア(奏者間の…
実は発売されて直ぐ入手したのだけど、存外にweather reportらしくないなあ、と思って、その後、あまり聴いていなかったアルバム。ボクが大好きな初期(vitousu時代)のWRのカヴァー集だと勝手に期待していたからだ。 ヴィトウスのWRモノの2枚目が届いて、聴…
それにしても実存的な、あまりにも実存的な音だ。そこに二人がいる。確かにいる。その手触りのような感触が、レコードで聴く愉しみ、だ。少し、ヴォリュームを上げて聴くと、その時間を僅かながらも共有できる、できた、ような気がする。 吉沢元治の包み込む…
20年前なら驚喜しただろうが 、案外、そんなもんかいな、って受け止めている。かなり賞味期限が過ぎているように思えるのだ。 それでも、今朝、ディスクユニオンのtwitterで発売を知り、驚いたのは事実。 渋谷ジャズ/レアグルーヴ館 on Twitter: "ブログ更…
音の存在感、がリアルだ。昨日、レコードが届いてから、何回も何回も聴いた。 Free improvisationと小難しい名前がついているが、そんな感じじゃない。楽器そのもの、その楽器を弾く人間そのもの、が赤裸々に記録されている。 古いJBLのスピーカーが苦しむよ…
そのことを知って、ナナのアルバムを聴いていた一日。密林のようなネット音源のなかで見つけた、そのことを知った日に、ふさわしい音。 ブラジルの鍵盤奏者Fabiano Araújoと打楽器ナナに加え、北欧のアリルド・アンデルセン。とても昔のECMみたいな編成。ナ…
ささやかな疑問、がある。1979年にジャズを聴きはじめた頃にこのアルバムを聴いて、今のように楽しめただろうか。 残念ながら、そのように思えなくなっている。今、のボクが楽しめているような感覚がある。 このアルバムを聴いていると、1975年から1976年当…
久しぶりにECMに還ってきた。かなり菊地さんにハマっているから、少し手薄。また仕事が年度末で多忙、また移動が多く、LPレコード聴きはなかなか進まない、のだ。 1975年までコマが進んだ。もう安定したECM。録音もECMそのものなのだけど、今と比べると残響…
1980年頃、たぶんSJ誌の記事で、このアルバムを知った。とうに店頭にはなくて、当時、なかなか見つけることが出来なかった。中古レコードの情報を持っていなかった、ためでもあるが。再発を待っていたが、熱心に聴いている時分にはなかった。 そんな記憶がい…
当時、CBSソニーから出た日本滞在中のGary Peacockのアルバム2枚のうち1枚。もう一枚はEastward。より、Peacockのベースに焦点をしっかり合わせたアルバム。滞日中、6枚(だったかな)の日本制作のアルバムにcreditされているそうだけど、あとの4枚は日…
菊地雅章のアルバムを探しているときに、甥の菊地雅晃のアルバムも一緒に捕まえた。そのon forgotten potencyがとても良かったので、もう2枚探した。「とびあたま」というバンドの2006年作。このアルバムもon forgotten potencyと同じ音の世界。緩いfusion…
ボクは何処にも行けるし、何処にも行っていない。そんな独白を誘う。ジャケットの強い印象は、音をまた違う心象に連れて行く。 大学の英語の授業で読んだアーサー・ミラーの随想、ニュー・イングランドへの強いノスタルジイを淡い写真とともに。消え去ろうと…